『最後のクリスマス・イヴ』
おもちゃのような書割り舞台に孤高の浮浪者たち。真に愛し合う豊かな精神の夫婦を描いたルノワール作品がこの他にあっただろうか。
『電気床磨き機』
ブニュエルを超える狂いっぷり
『愛が死に絶えるとき』
ジャンヌ・モローの歌声は意外にも細く高かった。
『イヴトーの王様』
最高。やっぱりそうこなくっちゃフランス人の倫理観は。光と色のなんと瑞々しいこと!群像の笑顔笑顔で終わるのが遺作だと思うと泣く。
『ジャン・ルノワールの演技指導』
気持ち(内面)を表す身体(表出)を一致させようとする恣意、先入観を取っ払うことが肝のようで、でもルノワールの言ってることを役者の女性も理解してやってるように思えないし、ルノワール自身が言ってる内容も正直よくわからないところもある。でも最後にすごい変容がある。そこへ持って行けるという確信と役者への信頼がきっとルノワールにあるのだ。すごい。選ばれたテキストが『河』の原作者のもので、東洋的な思想へのリスペクトをもって書かれているだろうから、融通無碍というか、ルノワール自身もそういった思想に触発されているところがあるようにも思えた。
彼はこのときおそらく70歳過ぎてるのだろうけど静かなエネルギーに満ちていてそれが途切れない。