2014.11.29 ヒューマントラストシネマ渋谷
世界中の様々な映画祭で話題となり30をも越える賞を受賞した未成年の保護施設を舞台に描かれたヒューマン・ドラマ。
少しばかり重たいテーマであり簡単には描けないテーマであったりする保護施設の人間模様を施設員のグレイスを軸に様々な悩みをもつ子供たちとの交流の果てに新しき希望を見つけていく物語。グレイスの過去は子供たちと同様にかつて虐待により施設で育った経験者であり彼らが抱える悩みへの共感も理解が早い。しかし反面その負の部分を共に背負いすぎてしまう側面もあり大人としての前進が出来ないグレイスでもあったりする。保護する者と保護されるものが並列の関係性の中でゆっくりと前進していく。その部分にこそ、この映画の良さがあるのではないか。
今年公開された『チョコレート・ドーナッツ』では社会的強弱の立場を描きその中でモラルを問うた作品であったが本作はその社会的強弱の立場を一切排し施設内の世界で成長していく登場人物達を描く。そうする事により保護施設から出た後の子供たちに向けられた希望へ繋がる映画となったのだ。
なかなかこの手の【恵まれない人】系の映画と言うのは扱いに難しかったりする。その中でもこの映画はその恵まれなさを嘆く事は無く希望に突き進み清々しい。最初と最後のシーンは行動上では同じだが積み重ねられた物語により、最後は圧倒的に光り輝いた。
