mimitakoyaki

6才のボクが、大人になるまで。のmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

4.7
とにかく、こんな素晴らしい奇跡の映画に出会えたことに感謝!
12年間をかけて1本の作品を作り上げた監督や俳優、スタッフはもちろん、支えた人たちにリスペクトです。

大好き過ぎるビフォアシリーズはリンクレイター監督が3作を18年間で作りましたが、1本の映画で12年間撮影した作品なんて他にあるんでしょうか、もうそれだけでほんとに公開が待ち遠しかったです。

6才の少年メイソン君が18才で高校を卒業するまでの12年間を点描のように描く165分。
ママの再婚や離婚などいろいろあるにはあるけど、大きくドラマチックな出来事が起きるわけではないのに目が離せない。
そして、これからも続くメイソンや両親の人生を見ていたい気持ちにもなりました。
メイソンや姉、両親の悲喜こもごも、人生の歩みを見守るような気持ちで、とても不思議な映画体験でした。

小さな時は無邪気でわんぱくなメイソン君が、あのような18才の青年になるに至るバックボーンを見ているので、彼の丸ごとを捉えられ、メイソンの内面が丁寧に繊細に描かれていて、まるでメイソンが実在してるかの様に感じる程でした。
そして、その時その時の瞬間の積み重ねが自分を形成してるんだとあらためて思いました。

ほっぺも唇もぷっくりとして可愛らしかった男の子が、毎年成長して変わっていく。
別居のパパもまだ若かった頃はエネルギッシュで、会う時はいつもはっちゃけて楽しませてくれて、でも、いつしか会話も少なくなっていったり、思春期には避妊の仕方を教えたり、子どもも大人も変わり成長していく。
体型や髪型などの外見はもちろん、親子の関係性の変化も丁寧に描写され、その過程の見せ方、その1年のある瞬間の切り取り方がとてもいいなと思いました。

幼かった子どもが成長し、やがて大人になり巣立っていく、そんな時間の流れを見ながら自分の人生と重ね合わせ、ある時は子ども目線で、いつからか大人の、母親の目線になり、自分のこれまでの輝くような瞬間の思い出たちや、人生の浮き沈み、大切な人たちや家族との時間を思いとても愛おしく感じました。

トゥルーロマンスではキュートなアラバマを演じていたパトリシア・アークエットが、腕やら何やらムチムチで太っててはじめはびっくりしましたが、離婚や再婚し、いろんな苦労を重ねながらも、大学で勉強しキャリアアップし、2人の子どもを一生懸命育てる中で、顔つきや雰囲気なんかも変わっていく感じがすごく良かったし、イーサン・ホークもそうですが、年をとって若い頃のような溌剌さはなくなっても、人ってその時々の美しさがあるのかなと感じました。

ほんとに素晴らしくて、これからも大切にしたい作品です。

【14-94】
2014.11.15 大阪ステーションシティシネマ
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