Hiiiraiii

6才のボクが、大人になるまで。のHiiiraiiiのレビュー・感想・評価

4.3
2014.11.29 新宿武蔵野館

素晴らしき映画体験。

邦題がさすように6才の少年が18才の大人になるまでの12年間を撮影したかつてない壮大な映画。監督のリチャード・リンクレーターは『ビフォア〜』三部作で18年間に渡って移り変わる男女の恋愛模様を描いた。彼にとって時間がひとつのテーマであり映画を作る上でもっとも重要視している存在なのではないか。

本作は劇的な物語進行など無い。6才という自己の芽生えが生まれた瞬間から18才の独立・解放の瞬間を丁寧に描く。もっとも人から影響されやすく悩むこの多感な12年間を同じ俳優たちが12年間かけて演じるその説得力に圧倒された。なんでもない日々の描写がその人物を確固たるものとし時間が過ぎて私たちの考えが変わる様に彼らも変わっていく。切り取られた一瞬一瞬が凝縮されたこの映画はあまりにも特別であり人生そのものを考えさせられる。また少年の成長物語でありながらそれを見守る大人たちの物語でもあることが素晴らしいのだ。

映画とは時間の凝縮が一つの技法でありその凝縮によって見ているものの感情を動かすと信じている。この映画にはその他の映画とはかけ離れすぎた時間の凝縮のリアリティがありやはりその他の映画とは何段階も上の感動が存在するのだ。

私たちの何気なく生活する時間も一瞬一瞬過ぎ去るが、その一瞬は、つねにいまある時間の事をさす。その一瞬を噛み締める事の大切さを学んだ気がした。
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