革芸之介

狂乱の大地の革芸之介のレビュー・感想・評価

狂乱の大地(1967年製作の映画)
4.0
ブラジル映画界の至宝にしてブラジル版ヌーヴェルバーグ「シネマ・ノーヴォ」を代表する映画監督グラウベル・ローシャのアヴァンギャルド社会派政治ドラマ。

主人公のジャーナリストであり詩人のパウロは保守派の大物政治家の側近だったのだが、地方のリベラルで革新派のヴィエイラの政治思想に共鳴して彼と政治活動を共にする。しかし、このリベラルな議員さんも結局は変革を全然できない。そんなんだから主人公のパウロはこの人も捨てて、首都に戻り今度は大金持ちの資本家フエンテスと行動を共にするのだが・・・・。

さすがブラジル。音楽が素晴らしい。オープニングからブラジルの民族音楽がグルーヴィー。その後もジャジーなドラムの乱れ打ち。不思議と銃声までもが音楽的でパーカッシブ。

映画の構成としては過去と現在など時制がいろいろ飛び交い、幻想的なシーンも交じり合う。

特にラスト近くは映像のカオス。過去、現在、演説、言葉、銃撃、バイオレンス、政治思想、が入り乱れた混沌の世界が描かれる。

拳銃を持ち、倒れそうになりながらも立ち続ける主人公パウロをロングショットで映す場面が美しい。
革芸之介

革芸之介