狂乱の大地の作品情報・感想・評価

「狂乱の大地」に投稿された感想・評価

これぞシネマ・ノーヴォというような作品。寄り/引きの撮影が独特の酩酊感を生み出していて良い。とにかく編集が暴力的でカッコいい。
R

Rの感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

人民は歌う
話すことを忘れて
リズムは束ねる
リズムは秩序建てる
グラウベル・ローシャ監督作品。
架空の共和国エル・ドラド。詩人でジャーナリストのパウロは、保守政治家ディアスに眼をかけられていたが、地方へ行き出会った活動家のサラと意気投合し、民衆に人気の進歩派議員ヴィエイラを新しいリーダーとして知事に押し上げようとするが・・・という話。

政治劇。話を理解するのが難しい。
グラウベル・ローシャらしい土着的な要素は他作品に比べて薄いが、やっぱり民衆の行進が入っている。

手持ちカメラで動いた画の印象が多い。
旗と十字架を持った男の画が良かった。
ローシャをアップデートするとズラウスキーになる。この人の作品は毎回最後のあたりはおもしろい
「<21世紀の前衛>アルベルト・セラ お前は誰だ!?」にて、セラ監督お気に入り作品の1本。
nasty

nastyの感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ブラジルの権力闘争を描いた作品。
主人公のパウロが権力者を渡り歩く。

詩的で難解。
ヌーヴェルヴァーグの影響を受けているのか?
作品自体はインパクトがあり、力強い印象。
Ken

Kenの感想・評価

4.0
ポルトガル語疲れた。
俯瞰ショットやダンス、おし寄せる民衆の画面は決まっている。
南米大陸は本当にEl Dorado だと思う。
これは凄かった。政治というもの。強者は搾取することに努め、弱者は怠惰を続ける。人類の普遍的な歴史のひとつの側面。いつの時代も大多数の民衆はその国の政治や宗教について深くは考えずに権力者を只単に盲信するだけで無責任な支持や怠惰を続けてきた。その結果、権力者達にどんなに搾取されることになっても明けても暮れても我慢し続け、それがそのうち普通となり、戦争に巻き込まれながらも独裁者に縛り付けられながらも我慢し続けてきた。この結果、民衆はかつてあった恐怖や嫌な思い出を思い出さないようにそっと忘れてしまおうと努めるようになった。これが俗に言う平和ボケというやつか? しかしその間も強者は弱者から密かに搾取し続け、弱者は目をつぶって我慢し続けてきた。そしてそれはやがて戦争、独裁といった露骨な暴力に姿を変え、歴史は繰り返していく。ここでもブレッソン監督の「文明の行き着く先は、皆なが馬鹿になる。」という格言が思い起こされる。しかしそういったシステムが出来上がっているのに、敢えて強者に楯突いて正義の為に行動する必要はあるのか?という疑問が湧く。どうせ世の中が変わる見込みがないのなら臭いものに蓋をして見て見ぬふりをしている方がずっと楽だし理に叶っているような気もする。しかしローシャ監督はそのような怠惰な姿勢に対して「政治をしっかりと考えずに生き続けて権力者達に簡単に搾取されるような生き方はもう止めよう。」というようなメッセージを投げかけている。権力者の搾取と民衆の怠惰に対する怒り、過激だがその先にある深い人間愛を感じた。内容、カメラワーク、演出、全てが神がかっていて、終始興奮と感動が止まらなかった。最初から最後まで完璧な芸術作品だった。真理を導きだす為に何度も観返したい金言的な大傑作だと思った。
natsumi

natsumiの感想・評価

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最近眠くて3日間にわけて観てしまったから登場人物の名前と顔と関係性がいつまで経っても覚えられず意味わからん。音楽のドラムが空気読む気なく派手で迫力がいちいちすごいの好き。
Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

4.0
「狂乱の大地」

冒頭、モノクロームに映る大海原の空中撮影。民謡音楽が流れ、ここは大西洋岸内陸エルドラド。アナーキズム、権力と闘争、集団と支配、反動的理論。今、架空の共和国で抑圧される人々が写される…本作は1967年にグラウベル・ローシャがカンヌ国際映画祭ルイス・ブニュエル賞と国際映画批評家連盟賞、ロカルノ映画祭グランプリなどを受賞した彼の傑作の1本で、 架空の共和国エル・ドラドを舞台に幻想を交錯させながら展開する壮大な寓話である。この度、DVDボックスを購入して初見したが素晴らしい。


さて、物語は理想に燃えるジャーナリストかつ詩人の男パウロは保守政治家事ジアズに興味を持たれていたが、地方へ行き出逢った活動家のサラと意気投合して、民衆に人気の進歩派議員ヴィエイラを貧困と不正義を変革する新しいリーダーとして知事に申し上げた。

だが、選挙に勝つとヴィエイラはこれまでの柵に囚われ何一つ変革ができない。それに大きなショックをうけたパウロは首都に戻る。すると国内一の起業家フエンテスに近づくが、大統領選の動きの中で裏切られる。パウロは武装闘争に向けて蜂起的処置を再びヴィエイラと組む…と簡単に説明するとこんな感じで、必然的に起こる政治と文化の対立のややこしい事柄を痛々しく描写した1本である。


本作の冒頭の出だし方が最高にかっこいい。大海原をモノクロームの映像美で淡麗に空中撮影する(その間、民謡が流れる)。そしてカメラはそのまま長回しで山を映して大地を映し、遠空を微かに捉える。そして大西洋岸内陸"エルドラド"の文字が浮かび上がり物語が始まる。

この作品は現実と観念、象徴、回想、幻想そして夢想を交差させてストーリーが始まる分、かなり難解に感じてしまった個人的には。

いゃ〜初見したけど、この映画も凄いインパクトがある。ワンシーン毎に。あの冒頭のくだりで男が女と一緒に車に乗って道路を運転している前に警察官が2人遮るように立っていて、そこの隙間を突っ走った後に、砂漠のような砂浜にカットが変わるシーンは凄い。しかも男が1人立って途方も無い 虚無化を体現しているかの様な画作り…あっぱれよ。


正直、彼の過去の作品に比べると非常に政治的で退屈なのだが、ラストの王冠を頭に被ろうとする男のクローズアップからの、主人公の男と男女の虚無感たっぷりな道路の真ん中で拳銃を持って自殺しようとするシーンを後退しながらカメラが捉える場面は最高に好きな場面である。一瞬、J.ドゥミの「 天使の入江」の冒頭に出てきたジャンヌ・モローを捉えながらカメラが猛スピードでバックしていく演出が頭をよぎった。このシーンがあるだけでこの作品を見て良かったと思えるほどまでだ。

途中から睡魔に襲われそうになってしまったが、自力でなんとか見れた。上映時間も2時間まではいかないが、ほぼそのぐらいなので結構長く感じてしまう。でもブラジルと言う国柄が非常に濃く出ていて歴史的にはかなり勉強になるし良い作品だ。こういった政治的な作品でも荒々しく繊細な映像スタイルを貫く彼のスタンスはかなり評価したい。時には混沌に満ちていて、時には静けさの強烈な表現を観客に見せる感じ…たまらん。

あの砂浜に拳銃を持った男の長回し(固定するカメラで)を捉える間の只管、銃撃音とパトカーのサイレン音が流れながらエンドクレジットになるまでの一連の流れも非常に好みである。こんな作品じゃ当時かなり論戦巻き起こしたんじゃないかなと思う。実際映画祭でかなり受賞しているわけだし(政治批判とかしている作品て賞受賞しやすいんだよね)。

この作品に対して監督は"私にとって何よりも重要な作品"と語っているらしいが、どの作品見ても問題作が多くあるし、論戦を巻き起こすような映画ばかりである。それにしても静けさの中にあるグロテスクさがこの監督を高みへと申し上げている1つの理由かもしれない。殺戮の中の静寂と蠱惑、面白いように次から次えと死んでいく人々の強烈なサンバのリズム的な演出、支配的な人間の運命とその不条理な力によってひれ伏されてきた民衆の歴史と集合的記憶を映し出したコントラストの数々は、とにもかくにもブラジル映画がいかにこの60年代を牽引してきたかが分かる。

遡ればブラジルでもオリンピックが開催し、ワールドカップも成功したと言う歴史的な発展も記憶に新しいだろう。

ブラジルの地平で映画をもし撮ると言うなら諦めろ、ここのテリトリーはローシャだけのものだ。
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