さうすぽー

複製された男のさうすぽーのレビュー・感想・評価

複製された男(2013年製作の映画)
4.4
自己満足点 86点

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品、一挙レビュー第3段!


「カオスとは、未解読の秩序である」
この印象的なフレーズが冒頭で映し出させる本作は、恐らく自分が今まで観た最も難しい映画のTOP10には入ると思います。

ジェイク・ジレンホール演じる大学教授が同じ顔を持つ男の存在に翻弄される物語。
「脳内が試されるミステリー」と日本のポスターで宣伝されていますが、個人的には「男女の愛」を題材にしたスリラー映画だと思ってます。


このジェイク・ジレンホール演じる二人(?)にも人物設定や仕草、性格などに細かく特徴づけられていて、同じ顔ながらもどちらの人物かが解りやすいです。
それを成し遂げたのは、やはりジェイク・ジレンホールの素晴らしい演技によるものですね。

この映画、確かに解りにくいですね(笑)
特にシンボルや抽象的なワード等に溢れていますが、今作ではストーリーも明確に説明しづらいです。
おまけに、他のヴィルヌーヴ作品でもヒントが隠されてる大学の講義を聞いても解りにくいです。

ただ、ショットやCGを含めた美しく奇妙な映像によって釘付けにされてしまいます。
それによって何度も観たくなりますし、見返したくなります。

本作に印象的に出てくる「毒グモ」についても色々と解釈が出来そうですし、観る度に違う印象にもなります。
色々な人の解説によると、フランスの芸術家ルイーズ・ブルジョワの作品から来てる説、キリスト教のシンボルから来てる説など様々ありますが、個人的には"ユングの心理学"を想像させました。
何せ女性がかなりキーの映画ですからね。
ようするに、「嫉妬」の象徴です。
男性にとっては「恐れ」というのもあるかもしれません。タランチュラ(毒グモ)って危険で怖いし(笑)

こういった様々な解釈をさせて何度も引き込ませてくれる映画は本当に大好きです!
ただ、映画自体は複雑過ぎるので賛否が割れるのは当然かもです(^_^;)