踊る猫

アメリカン・スリープオーバーの踊る猫のレビュー・感想・評価

3.5
『イット・フォローズ』が個人的に面白かったので期待して観たのだが、「作る意味のある習作」だと思われた。「アメリカン」なひと晩の少年少女たちの物語。それを小賢しい工夫を凝らさずに、露悪的になることもなくスマートに撮ったその手腕はなかなか。だけれども、万人に受ける類の作品であるとは思われない。エンターテイメント性が薄いのだ。メリハリがなさ過ぎる、というか。音楽でこちらを釣って行く老獪さもなく、ドラッグやセックスを生々しく描くどぎつさも選ばず、ただキスが精一杯の青春を切なく甘酸っぱく描いたその心意気は買いたいところだが……この監督の立ち位置は例えば「ヤング・アダルト」なアメリカの少年少女たちの後継者として捉えられるように思う。それでいて、感受性はヨーロッパのそれに似ているようにも……マッチョイズムとは無縁の、中性的な佇まいというか力の抜け加減に例えばスチュアート・マードックを連想してしまった。『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』は未見だが。
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