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はなればなれにのwigglingのレビュー・感想・評価

はなればなれに(2012年製作の映画)
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横川シネマにて。なんとも愛らしい作品。しかもゴダールのような自由奔放さやアンゲロプロスのようなフレーム使いがあったりと一瞬も目を離せない。邦画でこういうの久しぶりに観た。

ひょんなきっかけで出会った3人が共に過ごす数日のモラトリアム期間を描く。特に事件が起きたり何かを訴えたりする訳でもなく、無為に過ごす3人の距離感の機微が淡々と描写される。

面白いと思ったのは各シーンの独立性がとても高いこと。1つのシーンを取り出しても、それだけで短編として成り立つ完成度とユーモアに満ちている。そんなシーンたちを集めて86分にしたら、これがちゃんとした一本になってる不思議。

映像的にも見所多し。奄美大島というロケ地のせいなのか、間違いなく日本なんだけど、どこか異国の香りがする風景。そんな景色の中、画面の隅っこだけで何かが起きてるってのがね、とても良い。決してカメラが寄らないのにもニヤリとさせられる。しかも、そんなシーンがたくさんあるのに全然くどくないんだよね。これも不思議。

しかし、監督第一作目でこのクオリティとは。次回作が楽しみすぎる。
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