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雪夫人絵図のkazu1961のレビュー・感想・評価

雪夫人絵図(1950年製作の映画)
3.7
▪️JPTitle :「雪夫人絵図(1950)」
ORTitle: ※※※
▪️First Release Year : 1950
▪️JP Release Date : 1950/10/21
▪️Production Country : 日本
🏆Main Awards : ※※※
▪️Appreciation Record : 2022-092 再鑑賞
🕰Running Time : 88分
▪️Director : 溝口健二
▪️Writer : 依田義賢、舟橋和郎
▪️MusicD : 早坂文雄
▪️Cast : 木暮実千代、久我美子、上原謙、柳永二郎、加藤春哉、浜田百合子、浦辺粂子、夏川静江、山村聡
▪️Review
“戦前の価値観(旧華族)と戦後の価値観”、“古風な日本女性と放蕩な男性”、いつもの溝口健二らしい価値観の対極構造を、これまたいつもの美しい映像で描いています。本作も女の情念とさがを見事に映像化しています。船橋聖一の同名小説を原作に、名匠・溝口健二監督が手がけた女の悲劇。ラストに向かって破滅に向かっていく旧華族令嬢の悲哀、美しいものが醜悪なものに踏み潰されていく様が醜くそして悲哀に満ちています。
木暮実千代の妖艶でもあり悲しみと憂いを込めた演技がなんとも言えない雰囲気を醸し出しています(観ていていらいらさせられますが。。。)。
“女の体の中には魔物が棲んでいるの。心で拒んでも体で受け入れてしまう。。。”主人公雪は呟きます。もうはなからラストが予見されますよね。
そしてやはりまた最大の見どころは、モノクロームの光と影を効果的に絵にした小原譲治の耽美的な映像。熱海の海と日本家屋、箱根の芦ノ湖と洋風建築の美しさは素晴らしいです。芦ノ湖の空上に雲がかかり、その合間から月がのぞいているシーンには圧倒されました。

物語は。。。
信濃家のひとり娘・雪(小暮実千代)は、愛人を囲って財産を食いつぶす養子の夫(柳永二郎)に悩まされていました。そんな中、父が死に、財政的行き詰まりから雪は別荘をホテルにすることを決めますが、夫はその経営を愛人に任せると言い出します。。。

ジャン・リュック・ゴダールが“残酷なみずみずしさがある”と湛えた作品でもあるんですね。(参考:Wikipedia)

▪️Overview (映画. comより)
原作は雑誌『小説新潮』に連載された舟橋聖一の小説『雪夫人絵図』で、これを溝口健二監督が、「わが恋は燃えぬ」に次ぐ作品として取りあげたものである。製作は、滝村プロと新東宝との提携による滝村和男で、脚色は「わが恋は燃えぬ」の依田義賢と舟橋和郎と共同脚色、撮影は、「宗方姉妹」の小原譲治が担当している。配役は雪夫人に「執行猶予」の木暮実千代、浜子を「不良少女(1949)」「午前零時の出獄(1950)」の久我美子、菊中方哉を「宗方姉妹」の上原謙、直之を新派の柳永二郎、その他は浜田百合子、夏川静江、山村聡などの中堅である。
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