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ナチュラルのtjZeroのレビュー・感想・評価

ナチュラル(1984年製作の映画)
3.6
ロバート・レッドフォードって俳優は、ルックスは正統派の二枚目なんだけど、役柄としてはクセがあるというか、一風変わった人物を演じている印象が強い。

だから、『華麗なるギャツビー』とか『大いなる勇者』、『愛と哀しみの果て』みたいな一種の奇人・変人に扮すると輝きを増す。

本作の主人公ロイ・ホッブスも、天才的な才能(=ザ・ナチュラル)を持って生まれたのに、異様に女運が悪くてキャリアをつぶされ、何とか這い上がろうとする屈折した野球選手。

バリー・レヴィンソン監督は、1920~30年代が舞台の正統派クラシック映画として丁寧に撮っており、演技、衣装、照明、音楽のレベルの高い仕事を統合して格調高い作品に仕上げている。

ただ残念なのが、肝心の野球のプレー場面の撮り方。
ピッチャーが投げる→カットが替わる→打者が打つ…のくり返し。明らかに投げるのと打つところを別撮りしているのが分かってしまう。
野球の特待生として大学に進学したキャリアを持つレッドフォードが主演なんだから、投げる→打つを長廻しのワンカットで捉えたプレー場面をふんだんに挿入してもらえば、もっと試合の描写も盛り上がったはず。

結果、野球が好きな観客ほど不満が残る…というイビツな正統派クラシック作品が出来上がってしまった。
やっぱりレッドフォードの出演作って、良くも悪くも奇妙な印象が残るモノが多いなあ…という思いを強くした。
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