tetsu

シャイニングのtetsuのレビュー・感想・評価

シャイニング(1997年製作の映画)
3.7
『ドクタースリープ』の予習のため、鑑賞。(←あれ??予習するやつ、間違ってね??)

スタンリー・キューブリックの『シャイニング』から17年。
前作にイマイチ納得のいかなかった原作者"スティーヴン・キング"が自ら脚本を担当し、可能な限り、原作を忠実に映像化した約4時間30分のTV映画版。

『ドクター・スリープ』は、キューブリック版のオマージュに溢れているということで『シャイニング(1980)』が予習必須案件なのは聞いていたのですが、キング版を知っていれば、より楽しめると聞いたので、買ったっきり、家に放置していた本作を発掘。

その結果、『ドクター・スリープ』鑑賞前日に睡眠時間を削って鑑賞したのですが、これは中々、過酷な挑戦でしたね。笑
正直、かなり冗長な印象を受けるので、もともとの『シャイニング』を観ていないと、かなりキツい作品かもしれません。(まぁ、逆に初見でこれを見る人もいないとは思いますが...。笑)

とはいえ、観ておいて損はないのも事実。
スティーヴン・キング曰く*、「『氷』で終わる『シャイニング(1980)』と違い、『炎』で終わる」という原作版。
それに忠実な本作を観れば、キングが怒ったのも確かに納得。
なんてったってラストシーンが違うために作品の持つメッセージが180度変わっているんだもの...。笑
*『ドクター・スリープ』パンフレット参照

数多くの作品で"狂人"を描いてきたキューブリックが『シャイニング』を撮るとあぁなるのも仕方ないとは思うのですが、確かにキューブリック版では描かれなかった"その後"まで語られる本作の方が、物語部分の満足度はかなりありました。
(ちなみに、こちらのラストは割と泣けます。)

というわけで、キューブリック作品特有の凝った演出が皆無であるうえに、OPの空撮、不気味な双子、迷路、タイピングマシン、血の海など、『シャイニング』に必須と思われていた要素がことごとく欠けている本作。
しかし、予想を超える"真実"のラストシーンだけでも、是非、一度は観ていただきたい隠れた名作でした。

P.S
あと、どうでもいいけど、サムライミ(『スパイダーマン』の監督)が脈絡なく登場します。草です。

参考
The Shining (1980/1997) side-by-side comparison
https://youtu.be/JGIUf6jEw6g
(キューブリック版と本作の比較動画。ネタバレではありますが、気になった方は是非。)


以下、メモ程度に本作と80年版の違いを書き記します。


××××××ネタバレ注意××××××




・ボイラー室からOPが始まる。
・ダニーの特殊能力"シャイニング"がより強調されている印象。(ダニーが病気なのではないかと悩む描写など。)
・オーバールックホテルでのポルターガイスト的な怪奇現象。
・父・ジャックのアルコール依存症が強調。(どちらかと言えば、最初の時点で、かなり狂人ではある。)
・トニーが実体として現れ、その正体が明らかになる。
・ハロランさんがソウルミュージックに乗って登場する陽気なおじさん。
・主演夫婦の演技に鬼気迫るものがない。
・庭の動物たちが暴走。
・ハロラン帰還。
・あれが炎上する。
・登場人物全員の心が救われる感動のラスト。
tetsu

tetsu