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海月姫のchi6cuのレビュー・感想・評価

海月姫(2014年製作の映画)
3.5
面白い!!愛情あふれるオタク×ファッションの大爆笑サクセスストーリー。
原作ファンとしては観たかったシーンは全て観られたので大満足。原作を知らない人もこれを見たらきっと原作が読みたくなる。非常に上手くシンクロした秀作実写化。

人気漫画の実写化の場合、登場人物をいかに緻密に再現するかが成功のカギだと思う。それの点においては全く持って不満が残らないほどに造形、存在としての役作りが徹底しており爽快感さえ覚えるほどに完璧なキャスティング。

とにかく、とにかく、菅田将輝バンザイ!
14キロの減量が作り出した体の形が蔵之介以外の何者でもない。のど仏を隠してしまえば完全に美しい女の子。
その脚線美は見惚れるほど。
身のこなしは優雅なのに蔵之介らしいガサツな話し方と恥ずかしげもない鋭い突っ込み。月海に対してごねるシーンなどは菅田将輝自身の低い声もセクシーに聞こえてしまうほどに、魅力的で目が離せない。
そして能年玲奈の愛らしさ。オタク特有の早口やうつむきがちな惰性。
手元を見ずにミシンを踏む千絵子、ブツブツ話すばんばさん、まややのあのポージング、ジジ様の消えそうな存在感。
尼ーずの面々の完成度も全員申し分なく、彼女たちの日常の空気感までも原作通り。
きっと、スタッフ全員が原作を愛しているのだ。

オタクという存在を底辺の社会不適合者のように自虐的に描きながら、彼女たちの秘めたる情熱をうまく引き出し、真逆のファッション業界に転身させるというとにかく素晴らしいストーリーはこの上なく面白い原作のなせる技なのだが、原作ファンならきっと全員が思った「このファッションショーの会場にいたかった!」という願望を、この映画は叶えてくれる。
ディテールに強いこだわりがあるところも、
熱中したら止まらないところも、
後先考えずに行動できるところも、
臆病で傷つきやすいところも、
すべてオタク女子の特性で、それらが融合して美しいドレスが出来上がり、魔法にかかったようなクライマックスの高揚感は圧巻!!
女を輝かせるのは恋ではなくサクセスだ。
男はそれをみてかわいいとほめてくれれば十分なのだ。

ファッションムービーとは、鑑賞した女たちにいかに「ああ、新しいワンピースがほしい」と思わられるかが勝負だ。と、常々思っていた。
帰り道、ふわふわする心で興奮気味に思った。
蔵之介みたいにフェミニンで臆病な男の人が好き。
月海の唇がかわいい。
赤い着物、うちにもあったかも。
ドレスは4着目が好みだったな。
ああ、新しいワンピースがほしい。
くらげのような、ドレスがほしい。
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