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台風のノルダのchi6cuのレビュー・感想・評価

台風のノルダ(2015年製作の映画)
2.5
文化祭前日。
なんとなくうまくいかなくなった幼馴染。
台風の夜。
心のどこかで懐かしさを感じる世界の切り抜きの中からいきなりファンタジーの世界に引きづり込まれる。
正直言って、短い。もう少し話を掘り下げて長編アニメにしたらよかったのに、と思った。
少年の前に現れた謎の少女は嵐の中でのたうちまわりながら雷に打たれ、少年に助けられる。
彼女は嵐の原因を天と地がつながり、世界の作り替えがなされ、そして自分は柱となる、という。その少女を助ける話。

自然災害を天変地異として世界の終りと始まりと考えとそこに人柱を立てるというのはいわゆる神道の古来儀式に由来するのだと思う。これをSF的に描いているのだけど、おそらくほとんどの観客はそこの事が理解できず主人公同様に混乱して状況を捉える他ない。
それが巧みというかもったいないというか。
ただ、青春に絶望している、
天変地異で世界が終るかもしれない、
目の前によくわからないが苦しむ少女がいる、
助けたい、
理由はなくとも、
友の力を借りて。
という流れはシンプルながら最も美しい青春の再生の構図だと思った。
謎の少女は少年たちの青春のピースに過ぎないところが潔い。たった一夜の命がけの人命救助により、彼らは世界と友情と青春を取り戻し、少女は振り返らずに去っていく。
作り込みを求めればいくらでも面白くなるシチュエーションながら、観る側の青春とのすり合わせには十分な程度の世界観は提供してくれたように思えた。
今後に期待。心から。
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