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ラブ&マーシー 終わらないメロディーのkoyaのレビュー・感想・評価

4.0
ビーチ・ボーイズは日本でも有名ですが、アメリカじゃ~伝説クラスの人気なんですね。
でも、この映画は、曲を書いていたブライアン・ウィルソンの60年代人気絶頂から80年代、精神を病んで苦しんでいた時を交互に描きます。

なんか、ずっと可哀想で。若いブライアン(ポール・ダノ)の自分のやりたい音楽がわからなくなっていく時代と、年を取ったブライアン(ジョン・キューザック)が精神を病み、そこにつけこんだ奴らに囲まれてしまっている時代。

書きたい曲が上手くいかなくて行き詰まるとやはりドラッグに走ってしまう・・・この映画、薬物撲滅運動映画でもあるような気がする。
若い頃、曲が書けなくてもLSDをやると万能感が出てくる。

ポール・ダノは体重を増やしたそうで、映画の中ではだんだんお腹とかだるだるになっていく・・・『リトル・ミス・サンシャイン』『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』とこの映画は、色々な賞を取ったりノミネートされたりしていますが、確かに、見ていてついつい引き込まれてしまう「もろさ」みたいなものがありました。

80年代のブライアンを演じたジョン・キューザックの精神病気演技って、怖かったです。額のシミ、疲れた、皺だらけの顔、指先のけいれん、時々表情を失う瞳、突然ろれつがまわらなくなるしゃべり方・・・怪しい精神科医につけこまれて薬漬けにされてしまっているのが、拷問のようで。

決して楽しい娯楽映画ではありませんが、華々しい表舞台の裏の苦しみがわかるというより、身に染みる映画。
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