踊る猫

サンドラの週末の踊る猫のレビュー・感想・評価

サンドラの週末(2014年製作の映画)
3.6
ダルデンヌ兄弟の作品は不勉強にして『ある子供』しか観ていないのだけれど、二度流れるカーステレオからの音楽を除けば BGM は流されず、扇情的にこちらの気分を持ち上げたり下げたりさせないあたりはダルデンヌ的と言えるのだろうか。点数は低くなったがつまらないというわけではない。むしろ今後の EU ないしは日本の雇用情勢を考える上では「必見」とすら言えるのかもしれない。では何故点が低くなったのかと言えば、例えばアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ『BIUTIFUL』や(この映画は音楽にも救われていたのだが)ケン・ローチがやったようにサンドラと彼らを取り巻く貧窮をきちんと描けていないことに尽きる。失業って確かに重大な危機だね……という以上のものが響いて来ないのだ。ステレオタイプなものであるにせよ、社会問題を扱うならもっと多彩なニュース/トピックを取り入れて分かりやすく提示すべきだったのではないか。これでは長めの短編映画を一本観させられたような気にしかならず、オチの余韻も興が醒めてしまう。
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