てつこてつ

マイ・リトル・ヒーローのてつこてつのレビュー・感想・評価

マイ・リトル・ヒーロー(2012年製作の映画)
3.3
キム・レウォンが若い!

韓国映画は好きだが、連続ドラマとなると、Netflixでそこそこ話題になった作品くらいしか見ないので、彼の出演全作品をカバーしている訳でもないが、少なくとも自分がこれまで鑑賞してきた映画でのキム・レウォンは、ちょっと人情味あるヤクザもんやコミカルな恋愛モノの主人公といったイメージが強いため、本作のような子供を相手にした役どころは新鮮。

日本並みに、いや、今や日本以上にミュージカルの上演が盛んな韓国らしく、オリジナルミュージカル大作の主演の子役を決めるオーディションっていう設定も面白い。

子供向けのミュージカルの演出を担当する主人公が、テレビのミュージカルオーディション番組の審査員として出演し、出会ったのが天使のような澄んだ歌声を持つフィリピン系の少年。その才能は認めながらも、役どころが古代朝鮮時代の王という設定の為、肌の色の違いから到底キャスティングされぬだろうと思い、彼を選んだところ、何と、少年も主人公を指名し、皮肉にも二人でタッグを組んで主役の座を射止める為に奮闘することとなる・・。

虚栄心の塊で自分の成功しか眼中になかった主人公が、健気な少年の努力やその悲しい生い立ちを知る過程で、本気で少年を勝たせたいと気持ちが変わっていく姿を描いた人情ドラマ。

子役と接するキム・レウォンが見せる表情が柔らかくていい。また、他の主役候補と戦う少年のオーディションシーンも、実際のミュージカル俳優さんも出演してるかと思われ、迫力があり華やか。

多少ベタな内容ではありながらも、韓国社会の肌の色の違いによる人種差別を根底のテーマとして描いているのはいい。

ただ、劇団仲間の役どころで登場する名優イ・ソンミンや「コンフェッション 友の告白」で抜群にいい演技を見せたイ・グァンス、オーディション番組の女性ADとか、そこまでストーリー展開に必要か?と思うキャラクターが多くて、いい俳優さんのムダ遣い感もあり。

終盤での主人公のある過去が明らかになる展開も、ちょっと唐突過ぎだし、エンディングが「え、そこ描かない?」と物足りなさを感じるのは残念。

オーディションシーンではミュージカル好きの方はエルトン・ジョンが楽曲を担当したミュージカル版「リトル・ダンサー」そのままじゃん!って突っ込みたくなる振り付け、楽曲使用のシーンも有るが、まあそれはご愛嬌。
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