てっきりマネーモンスターみたいな話かと思ったら全然違った。
いたずら電話と思われた電話に暴言を吐き、相手の話も碌に効かない主人公が大スクープをかぎつけるや否や身だしなみを整え、シュッとしたキャスターに変貌していく。
でもその自信満々な態度も犯人には通じない。そのドキドキ感。
主人公のユンをはじめ、上司も、犯人も、政府も誰にも肩入れできない。ユンは自分の出世の事しか考えてないし、(本意ではないという描写はあったが)賄賂も受け取り、元妻の手柄も横取りする野心家。
始終保身や出世がモチベーションのように見える。
犯人も気持ちは分かるが、無関係な人を平気で巻き込み、それを人のせいにする。
ダメな人間がそれぞれ生き残りや目的のためにせめぎ合うような容赦なさはさすが韓国映画。もし日本映画なら主人公は弱きもののために良心に目覚めて奔走するだろうし、ハリウッドならあの終わり方は無かっただろう。
粗とツッコミどころは沢山あるけれど、最後には妙な爽快感もあるような作品だった。