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郊遊 ピクニックのmingoのレビュー・感想・評価

郊遊 ピクニック(2013年製作の映画)
3.7
泊まり番明けで早稲田松竹にて鑑賞。噂には聞いていたこれでもかっていう長回しでしぬかと思いましたが、意外や意外画面に釘付けでした。
武蔵美映像学科時代の「デジタルドラマ」という授業を思い出しました。長回しという効果はやりようによってはみせたい人やモノ、情景、仕草、空気など観るものを虜にできる非常に巧みな技術がないと無理だと思うんです。広角レンズを使って、画面の端から端まで注意深く構図をとり、ただただひたすらカメラを回す。その緊張感たるや、命を削る覚悟で撮っているのだろうと思った。

郊外で水道も電気もない空き家で暮らす父子。父は交通量の激しい道路でマンション販売を広告する「人間立て看板」でわずかな日銭を稼ぐ。残された子どもたちはスーパーマーケットや河原を遊び場にし、貧しい生活をピクニックのように楽しんでいる。

人間の本質をシリアスに描くと同時に、喜劇的な側面も貫かれている。監督が「人間立て看板を見て、自由とはなにかと考えたのです。ホームレスもそうです。彼らのほうが自由があると考えたりもします。登場人物を考えるときに、社会の隅にいる人を捉え、そこから見てどうなのかということを考えます。この主人公のように何も役に立たない人間だと思うようになったとき、人間はやっと自分は何者なのか、自分の本質は何なのかを考えるのです。」と語るように人間とは何か、ただ働き映画を楽しみにしてる自分に価値はあるのかなんて考えてしまいますw
とりあえず監督の力量に参りました。絶対に劇場で観てください!
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