郊遊 ピクニックの作品情報・感想・評価

郊遊 ピクニック2013年製作の映画)

郊遊 Stray Dogs

上映日:2014年09月06日

製作国:

上映時間:138分

3.6

あらすじ

幼い息子と娘を育てている父親。水道も電気もない空き家に、マットレスを敷いて眠る3人。父親は不動産広告の看板を掲げて路上に立ち続ける“人間立て看板”の仕事でわずかな金を稼いでいる・・。

「郊遊 ピクニック」に投稿された感想・評価

わかるけど!
序盤の雨風に耐えながらフード被って、立て看板構えて…ジェダイのようだった
今年からツァイミンリャン監督作品を見始めた。
「青春神話」「河」では、洗面所で「カァーッペッ!」とおじさん特有のうがいをしていたのはミャオティエンだったが、本作ではついにリー・カンションがおじさんうがいをしていたので感慨深くなってしまった。
ツァイミンリャン作品の面白さは、人々の生活におけるギリギリ決壊しそうなラインの綻び加減にあると思うんだけど、本作は最初から崩壊している状態だからひたすらに孤独。そして流した涙も乾ききる長回し。
素人の俳優はカメラが回っているとガチャガチャと何かをしてしまいがちである、と教授が言っていたのだが、その理論でいくと今回の俳優は皆一様にプロフェッショナルだなあと思った。
しっかしケイズシネマにはインディーズ映画監督の生き霊が渦巻いていて気分が悪くなりそうになる
Ryosuke

Ryosukeの感想・評価

4.8
抑制の効いた長回しロングショットによる冷たい質感の画が美しい。
汚い街、野外での小便が映画の力で神秘的になる。
同日に見た「河」がリアリズム重視だったのに比べると、撮り方も凝っている感じ。カメラを真横にして螺旋階段を撮るショットなど時空が歪んでいるかのよう。
暗めの画面に映える強烈な照明が鮮烈で、ガラスへの反射も効果的に使われている。
野良犬まみれの廃墟が美しい。赤いビニール袋越しの懐中電灯の光が差し色になっている。
家の壁(質感が素敵)に沿った、這うような長回しも印象的。
親子の苦しい生活と、ほぼ現実感の無いほど象徴的になった「母性」のようなものが示される。
看板を持って立たせるアルバイトなんてあるのか...
キャベツさんのシーンはやはりインパクト大。もぞもぞと動くキャベツさんという唐突な超現実的描写と、キャベツを貪り食う強烈なリアリズム描写が融合する。
木船と親子の別れのイメージは「山椒大夫」や「雨月物語」のオマージュだろうか。「雨月物語」でいう霧の代わりに豪雨で画面が霞む。実際はすぐに時間が飛び、親子はまた同じ画面内にいるのだが、これ以降親子は会話を交わすことはなく、子どもは新しく登場した女性に懐いているようである。これは親子の距離が決定的に開いてしまったことを、前述の溝口作品のオマージュによって表現しているのではないだろうか。引用元のシーンのイメージを付与することで本作の当該シーンに意味を与えているかのように思える。
溝口もツァイ・ミンリャンも長回し中心のスタイルは同じであり、少なくとも見てはいるだろうからあながち間違いでもない気がする。
ラストは尋常ではない長回し。劇場もかなりの緊張感に包まれた。正直ちょっとキツイっちゃキツイのだが。
二人の表情を映し続けるショットは、観客の視界を制限してフレーム外を想像させる演出の極致のようである。
そこから切り替わるラストショットは完全に異空間。溜めただけはある完璧な一枚画。人物が消え、環境音も消え、画面が一枚の静止画に近づいて映画は終了する。
Marrison

Marrisonの感想・評価

5.0
完璧、でありながら特異性も高い。
欠陥が本当に本当に一カ所もない。(クーリンチェ236分版やラヴ・ディアスなんかに騙されてる人には是非これ観て真の傑作に震えてもらいたい、、なんて勝手に偉そうに言う。)
定点長回し率98%以上で、台詞が全体で百行ぶん程度も発されない。しかし、撮るべきを撮りまくってるねという納得で心地よく集中できた。不要が省かれまくってもなお、万感という名のストーリーはちゃんとあるわけで。
女児の可憐さがしばしばセンターフロント(「デカパイキャベツ」への完全リアルな笑い声も魅力∞)だった。
そもそも、髪を梳かす音かと思えたものが寝息だとしばらくしてわかり、長いその髪に隠れてた美母の横顔がいいところでやっと露わになる、そして寝返りをひたすらに(私たちに)待たせる、そんな長い長いファーストカットからして匠の技。

じつは、途中一カ所だけ、嫌いたいシーンがあった。壁画を前に、侵入してきた元妻がずーーーっと立ち尽くす後ろ姿シーン。立ってるだけじゃなく微動だにしないのが、いかにも「映画のためそうしてる」感丸出しと思え、イラッとしたよ。ほかのほぼ全シーンがリアリティー最優先(兄ちゃんのパンツの穿き替えを妹がカメラから隠すところはまあ仕方ないけど)だったのに。
そしてラストの超長回しのところで、またまた妻が(今度はこっち向いて)固まっちゃって、いくら(前半の歌のところの夫に続いて)リアル泣きの一部始終をバストショットで見せてくれても「なぜ泣くのかわかんないし」とその時点で私はまたイライラ。だったらキャベツ喰い~舟の盛り上がったところでエンドにしておいた方がよかったんじゃん? 幸福時代回想部とおぼしきハッピーバースデー以降は蛇足じゃん?──────────とまで否定したくなったその時、夫が妻の肩にゆっくりと────────────あっ! そうだったのか!!!
   ▼▼ネタバレ注意▼▼
そこで初めて映った、さっきと同じ壁画! すべてを理解した私。この映画唯一の欠点だと思ってたあの長い長い長い立ち尽くし~放尿シーン(離婚後)が、この長い長い長いもっと長いラスト(離婚当日)のための最大の伏線だったんだと理解したことで、もう、この138分ものじっくり映画に一瞬のムダもムリもムラもなかったと知った私なのだった。。。。。
冒頭の夢魔(髪を梳かす女性)と元妻(子供を連れ去る女性)と終盤の回想の中の妻(涙を流す女性)とキャベツ人形の四者は、別々の女優三名&キャベツ一玉によって演じ分けられていても同一人物。もちろん時制と次元の描き分けだ。この点が呑み込めなかった人には本作の消化は不可能だろう。

my現時点での最高傑作台湾映画。
床ずれ

床ずれの感想・評価

4.0
「行者」シリーズで李康生は都市を異化する「異物」であったが、ここでは人間立て看板として風景と同化し、埋没する。震えながら歌う歌から聴こえる力強い抵抗の意思。野良犬の闘いは長くて静かでアツい。
susa

susaの感想・評価

1.1
台湾巨匠傑作選2018 @k'sシネマにて


友人に台湾映画オススメされ初の試み。

とにかく長回しのシーンが多すぎる。
特に最後の15分間の長回しは今まで観た映画の中で1番長かった…
セリフもほぼ無し。音楽も一切無し。
ストーリーが断片的すぎて全く理解出来なかった。

キャベツを異常なくらい頬張るシーンにはようやく感情的なモノが感じられた。昔の妻に例えているのか、食べて、泣いて、ぐしゃぐしゃにして。凄く斬新なシーンだった。

うーん、台湾映画は私には合わないのかもしれない、、とりあえずもう一本観ようと思う。
kyo

kyoの感想・評価

4.5
漂流者たちの命の鼓動、映画の胎動がそっと伝わってくる。140分間、空に寝ころんで地上をながめているような感覚だった。全編にあふれる詩情、宇宙の泡のような長回し。ラストシーンは文字どおり「うごけなかった」。凍ってしまう寸前の、もっともうつくしい水のかたち、そんなようなものを目にしてしまったのかもしれません。とてもすばらしかった。
Stream

Streamの感想・評価

4.0
人間の生活、様子、みんながしていることなのに誰もみないものなどを撮ってしまうところが、とても良い。

1つのシーンがとっても長い。こんなに長く、俳優の表情や行動をカットせずにやってのけるものを知らなかった。

"生きている映画"と、この監督の作品を観ると毎回感じる。
二度目だが全然ピンと来てない。説明が全然ない上に時間軸がぶっとんだりしてて今まで見てきたミンリャンの中でも本当にぶっちぎりで訳が分からない。後半はリアルというより幻視っぽいと思った。

一つ言えることは立ち看板とキャベツのシーンが素晴らしい。今作はリーカンションの演技依存度が高い。というかストレイドッグと化した彼をひたすら眺める映画なのか。というか俺はストレイドッグで行くぜっていう監督の遺言状だな。現代の映画産業に心底幻滅してたんだろうな。
でも、頭でわかんなくてもいいやと思いつつも何か腑に落ちたいと思っちゃうんだよな。でもこの理屈を越えてどっしりくる重みはツァイミンリャンの凄さだな
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