まぐ

アイアムアヒーローのまぐのネタバレレビュー・内容・結末

アイアムアヒーロー(2015年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

恥ずかしながら、あまりゾンビものは見てきませんでしたが、自分の目線でレビューさせていただくと…

面白い!
凄いと思うのは、主人公たちに平和をもたらす根本的な解決は最後まで提示されないままなのに、それでも常に「現在の危機的状況を切り抜ける」主人公たちの行動に注意を集め続けるところ、そして一つ一つのシーンに対する詰めのストイックさがこれを成功させているところです。
1番好きなタクシーのシーンを例に出すと、このシーンで語られることは「街中から主人公とヒロミが人里離れた山に置いてけぼりを食らう」ということ。
なのに実際は

◎パンデミックで街中ゾキュンが溢れかえる中、タクシーを見つける

◎タクシーに置いていきかけられる

◎ようやくのおもいでタクシーに乗り安堵するが、同乗したサラリーマンが感染済み

◎それに気づかない運転手がティッシュを手渡し、その際噛まれ感染という最悪な状況に

◎サラリーマンゾンビとで唯一の戦力である主人公が戦う

◎主人公、サラリーマンゾンビを追い出そうとするが、サラリーマンゾンビが主人公を掴み、主人公もろともタクシーから落ちそうになる

◎やっとの思いでサラリーマンゾンビを追い出すが、それをトリガーに運転手が暴走し、大事故

という流れ(たしか)。
まずドライバーが感染、という展開自体スリリングなのにそこにワンクッション、サラリーマンを置くことで4人中2人が感染していることになり、危機感が全く違います。唯一の戦力である主人公が運転手に対応できなくなるという意味でも危機感は増します。サラリーマンゾンビもただ落ちれば良いものを、主人公を道連れにしそうになったりと厄介この上ない。
ちなみに言うと銃が使えない狭い車内という状況の選択もかなり良いです。
ドライバーの感染のカットも、ただ噛まれるのではなく鈍感にティッシュを渡した手を噛まれるという笑えるシーンにしているのが凄い。
まだまだあるかもしれませんが、とにかく一つ一つのシーンに施す工夫が半端ないです。良いシーンの勉強に凄く適した映画でした。

なので最後まで明かされなかったヒロミのバックボーンだとか、これからの主人公が丸投げなことは、その場その場で全く退屈させない展開のせいで特に気にもとめてなかったので別に気になりませんでした。原作読めよ、って事なのかな?

ヒロミは完全に置き物です。バックボーンは最後まで明かされないし、主人公に守られっぱなしで特に何か役に立つ訳ではない。ただヒロミがいなければこの映画はここまで良くならなかった。そこまで言える魅力がありました。
ぶっちゃけみんなが好きな要素の塊だったのが良かったのかと。可愛い、女子高生、主人公しか頼りがない、具体的ではないが言葉の端々に見え隠れする不遇さ、そして半ゾンビ状態のペット感…
バックボーンを明かすだけがヒロインを立たす訳ではないという新たな発見がありました。

主人公の成長も良かった…
銃を焦らしに焦らして、一度は奪われて下手くそに使わせてからの主人公の正確無比なスナイパーっぷりを見せるのには痺れました。そう言えば主人公も、他のキャラも、みんな要素の塊だったな…大好きです。


少し前に見たのでまだまだあるかもしれない…思い出したら書こうかなと思います。
めちゃくちゃ面白いエンタメ映画でした!
まぐ

まぐ