イチロヲ

真昼の切り裂き魔のイチロヲのレビュー・感想・評価

真昼の切り裂き魔(1984年製作の映画)
4.0
切り裂き魔のスクープを追いかけているカメラマン(下元史朗)と女性編集者(織本かおる)が、決定的瞬間の写真撮影に成功した青年(中根徹)と接触する。「巻き込まれ型」のサイコ・スリラーを踏襲している、新東宝配給のピンク映画。国映製作。

短い尺に制限されているため、強引なシナリオ展開や唐突な説明台詞が挟み込まれるが、ミスリード狙いの作劇は極めて良好。胸のうちに秘めている孤独感と、そこに付随する凶暴性を題材に取るという、脚本家・夢野史郎の作家性が迸っている。

ポルノ要素では、カメラを左右にパンさせるセックス・シーンと、車の往来が激しい場所での車内レイプが刺激的。ヒッチコック「サイコ」のパロディでは、シャワーカーテン越しに裸体を収めることにより、ぼかしの効果を与えている。

「ピンク映画」はジャンル名ではなく、多ジャンルを擁しているブランド名であることをあらためて痛感させられる。同脚本家による1987年度「ロリータ バイブ責め」(佐藤寿保監督・日活ロマンポルノ)と併せて、姉妹作とすることが可能。
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