踊る猫

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)の踊る猫のレビュー・感想・評価

4.3
何故(あたかも)ワンカットで撮ったかのような手法を使ったのだろう。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥという監督なりの意図がそこに込められていることは間違いない。『アモーレス・ペロス』以降『BABEL』に至るまでの作品は群像劇でありだからこそひとりひとりのを浮き立たせる多彩な視点を必要とした。『BIUTIFUL』ではそうした語り口を捨て社会派としてのベタなアプローチを行った。この映画では虚実、つまり本物か偽物かの相違が問われる。舞台や映画において何処まで「嘘」や「演技」や有効か。他の登場人物のために行われる「嘘」や「演技」は救いとなるのか。自分自身を「嘘」や「演技」で偽ることが出来るのか……その難題に取り組むべく、イニャリトゥ監督は撮影自体をもリアリティをより伴った作風に挑んだのではないか。その手法を、果たして「成功している」と受け取るか「淫している」と受け取るかは賛否が割れるだろう。
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