円柱野郎

映画 ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

面白い、というよりは楽しい!が先に来る作品。
元々ショートのクレイアニメーションを長編映画にしてしまうのも冒険だけれど、なによりこの作品世界では登場キャラクターに台詞がないわけで、その世界観を守って長編を作りきってしまったのが凄い。
台詞がないというのは、正確にはひつじ目線なので人間は何を言っているかわからない(言葉に聞こえない言葉を出している)し、ショーンたちもセリフをしゃべるわけではないということ。
サイレント映画的な要素という感じもするけど、状況描写で物語を理解させる演出力が無いとこれはできないよな。
登場キャラクターや世界観の説明も言葉に頼らないし、表情に制約のあるクレイアニメの造形でも感情が手に取るようにわかる。
これにはかなり感心した。

毎日の繰り返しに退屈しているショーンは、牧場主を眠らせて休息日を楽しもうとするけれど、手違いから牧場主が都会で記憶喪失になってしまう。
それを助けに行こうとするショーンたちのドタバタぶりは実に楽しい。
そしてちゃんと愛情を感じる物語がいい。
日常に乾杯!
とにかく話のテンポが良いのだけど、物語に無駄がないのはクレイアニメだから…無駄なものを撮っている暇はないことの裏返しか。
でもカットごとの情報量に手抜きはない(ロングショットのモブもちゃんと動いている)のが凄いよね。
円柱野郎

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