ねまる

アラビアの女王 愛と宿命の日々のねまるのレビュー・感想・評価

3.3
T.E.ローレンスって、『アラビアのロレンス』か!
ちなみにT.E.ローレンスを演じているのは、ロバート・パティンソン。

女性版アラビアのロレンスが、この映画の主人公。
オスマン帝国が崩壊する頃、国境を引くのに貢献したガードルート・ベルという実在のイギリスの女性。

この映画が不思議なのは、
イラクやトルコといったアラブの国々が舞台の、
イギリス人たちが主人公の物語を、
ドイツ人の監督が、
オーストラリア人を主役に撮っているところ。

ロバート・パティンソン、ダミアン・ルイス
などイギリスの布陣は強いので、
いっそイギリス固めで製作すれば良かったのに、と謎なんですよ。

ニコール・キッドマンは美しく聡明さもあるけど、
若き日の恋のように描くには、流石に歳を感じる。
1人の人間としての強さはあるのに対し、何故か聡明さよりも我儘さを感じてしまう。
男が描く強い女って感じがする。
もしくは、私がこの女性の強さに嫉妬してるか。

というよりも、ガードルートの政治的な成功よりも、中心が恋愛の話だからかもしれない。

1人目の忘れられない恋の相手が、ジェームズ・フランコ。
ハンサムで詩に心得があり知的な伯爵家の息子、としてキャスティングされるなんて珍しい。
自らに陰があるからこその優しさが心地よいね。
不思議と作品には馴染んでるけど、フランコの使い方としては良さが活かしきれていない感じ。

2人目の危ない恋の相手はダミアン・ルイス
せっかく素晴らしいダミアン・ルイスなのに、今度は役柄の使われ方が違う。
大切にしていた銃を彼女を守るために託すのに、勝手に他の人にあげられたり、
良い馬をプレゼントしたのに、ラクダに交換されたり、散々なのに何故優しいのか。もはや謎。

3人目、とは言えないがロバート・パティンソン。
考古学を学ぶ学生。言葉選びが変わっているのと、お茶目な表情がチャーミング。
出番が少なすぎるのよ。
有名人だから創作しづらいのかなぁ。寂しい。

アラビアの土地、砂漠の映像は全て美しく、
衣装なども良かっただけに、
肝心なストーリーがちょっと史実的に物足りなかったのが残念でした。
ねまる

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