広島カップ

孤独のススメの広島カップのレビュー・感想・評価

孤独のススメ(2013年製作の映画)
3.3
坂道なんか無いオランダ郊外の景色の中を制限速度を守って走るバス。敬虔なクリスチャンの主人公の人生のようです。
ステンカラーコートを羽織りあまり手を振らずに歩く主人公はそのバスの座席に腰掛けている時にも荷物を膝の上に乗せて両手で持っている。
姿勢の良さも彼の人生そのもののようです。

ある日主人公の前に突如現れたその男は主人公とは正反対の佇まいで言葉を発しない。
主人公は男を遠ざけるだろうと思いきや何故か一つ屋根の下で同居を始める。
主人公は男の髪形や身形、食事のマナー等は自分に近付けて彼に求めるが、安息日の日曜日にサッカーをしたり、亡くなった妻の服装を纏った男と踊ったり…
つまり変えたくないものは変えないが、彼に合わせて変えたいものを変えていく主人公。
変わっていくのは男ではなくて実は主人公の方。
何故男は言葉を発しないのか?
彼こそは主人公の心の中の声、秘めて抑えていた心の中の声だから。

過去に愛する妻を事故で失っていた主人公は妻と出会ったマッターホルンへ男と共に向かうのだった。

なんだか夢の中で起きているような話、孤独な主人公の中で起きている話でした。
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