きむきむ

クリムゾン・ピークのきむきむのネタバレレビュー・内容・結末

クリムゾン・ピーク(2015年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

ギレルモ・デル・トロ監督によるゴシックホラーということで、もうデルトロという要素だけで観に行ったのも同然です。

しかしながら上映館が少ないこと少ないこと…
ホラー系というジャンル分けもありますが、いくらデルトロ監督作品でもパシフィック・リムとは大違いだなぁという印象。

観てみると、やはり皆さんおっしゃる通り美術的側面がかなり気合い入っています。
言ってしまえば、ボロボロの洋館なのに何故かホコリや塵すら綺麗に感じ、夜なんかは風が吹き荒れるのに静謐さすら感じられます。

そして俳優達の名演、怪演の数々。
仕草や視線に至るまで本当にひとつひとつの動きに意図を感じ、それが圧倒的な映像美による心理描写へと軽やかにリンクすることで没入感を向上させていたと思います。


と感想を述べたところで、私が一番面白さを感じたのは「フィクションであること」ですね。
本映画はまず主人公の「幽霊は実在する」というモノローグと、本をめくったような絵画のページから実写シーンへと切り替わります。
そして終わり方はというと、「幽霊は実在する」という主人公のモノローグと共に本が閉じられ、『クリムゾン・ピーク――イーディス・カッシング(主人公)著』という名前の本であることが分かります。

つまりですね…
私達は小説家である彼女の著書を読まされてた訳です。
視聴者の中には「幽霊そんなに関係ないじゃん」という人も少なくないと思いますが、それもそのはず、"可能性として"彼女の実体験としては幽霊は存在してないというのも考えられる訳です。
だから彼女の台詞にもあったように、「幽霊は比喩」で、だからこそ彼女の"物語"には幽霊が実在したのではないでしょうか。
そう考えると嘘でも「君の物語は感傷的過ぎる」と言われたのが納得出来るくらい『クリムゾン・ピーク』という作品は感傷的であったと感じます。

ホラーに付き物である幽霊の存在を、可能な限りリアルに突き詰めた意欲作だと感じました。
本当に、怖い!というよりは綺麗!という言葉が先に出るくらい美しい物語だったと思います。
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