カツマ

ローマに消えた男のカツマのレビュー・感想・評価

ローマに消えた男(2013年製作の映画)
3.8
強烈な余韻を残すラストシーン。果たしてあの最後のカットは何を意味しているのか。邦題の意味も含めて、解かれることのないミステリーを宿した作品。名優トニセルヴィッロの圧倒的な名演が画面を支配する。

イタリア政治野党の党首エンリコは支持率の上がらない中でついに表舞台から姿を消す。何とか窮地を脱しようとする政党役員は瓜二つの兄ジョヴァンニを代理として添えるという離れ業を敢行。だが、ジョヴァンニは国民を扇動するカリスマを持った人物だった。ヒトラーを代表する扇動政治に一石を投じると共に、この兄弟の入れ替わりの不透明な末路は迷宮のように闇の中へと閉ざす。

謎は謎のまま最終コーナーへとハンドルを切り、そのままあの決定的なセリフへと物語は一気に加速していく。サスペンスタッチではあるが、兄ジョヴァンニの奔放な性格もありコメディ要素も交えつつ、テンポよく物語は進みます。ミステリアスな中にメッセージを上手く忍び込ませ、こちらへと不敵な笑みを浮かべる作品。
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