テレザ

キャロルのテレザのレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
4.0
はい至高。
これほどまでにイデア的な同性愛を、がっつかずに抑制を効かせ静かに、エレガントに、そして情熱的に描く。ルーニー・マーラ演じるテレーズの感情のわずかな変化、昂まりと併せて、120分、緊張感の糸が切れることなく物語に没頭できた。

惨めな空腹でなければいい、というタイプのテレーズに、面と向かって「飢えてるの」と言い放つキャロル。昼食を前にしたやり取りだが、象徴的である。何事に対しても誘惑に逆らえず「イエス」しか言えなかったテレーズが、キャロルへの恋慕を通して感化され、意志を獲得していく成長物語でもある。キャロルのような赤い口紅、そして煙草。デヴィット・リンチ『マルホランド・ドライブ』のベティ→リタに描かれたように、「憧れと同一化」は同性愛の一つの型であり、一つの真理でもある。『キャロル』でもそれが上手く描かれていた。

そしてこれはとても大事なことなのだが、美しいレズビアンには男の影が必要である!その対比において。その葛藤、そして困難さにおいて。この点、『キャロル』は素晴らしい。きちんと50年代の「男の無理解」があり、そして時代を問わない普遍的な「女の戸惑い」がある。言うまでもないが背徳感が無ければ美しくない。背後にある男の存在をバネにして、レズは強度を高めるのだ。

ラストの締め方も最高ですね。
ごっそさんでした。
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