踊る猫

キャロルの踊る猫のレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
3.7
上品な作品だ。同性愛がタブーだった時代の禁断の愛を描いていて、しかしこちらを煽り過ぎることなく(言わば「俗情との結託」に触れずに)丁寧に描き切ったその真摯さは評価に値する。悪く言えばそういうセンセーショナリズムに頼っていないせいかやや平板で、もう少し「タブー」としての側面を強調させるような細工が必要だったのではないか、あるいは(これは私が「恋愛」を遂に理解出来ない人間だからかもしれないが)ふたりが恋に落ちる過程をもっと丁寧に描いていれば……と惜しく思わなくもない。ただ、そういうことをやってしまうとこの映画の持ち味である「上品さ」そのものが失われるとも言えるので、そのあたり悩ましい。「赤」と「緑」をどぎつくなくしかしさり気なく至るところに配置しているその色彩美、そしてケイト・ブランシェットを映した写真の美しさも褒められるべきだと思う。ので駄作ではない。ただ、手放しで傑作とも呼びかねる。何処か松浦理英子作品にも似ている?