KouheiNakamura

ドクター・ストレンジのKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

ドクター・ストレンジ(2016年製作の映画)
3.8
もう少し、雪を。


マーベル・シネマティック・ユニバース第14作目。かつては天才外科医だったが、不慮の事故により失意のどん底に落ちたスティーブン・ストレンジ。かつての栄光を取り戻そうとすがる思いで向かった先は、ネパールのカトマンズ。そこで彼が見たものはーー。
アベンジャーズシリーズが更なる飛躍を図るため、遂に作り上げた超魔術アクション。監督は「地球が静止する日」のスコット・デリクソン。主演は今や人気・実力ともにトップクラスの英国俳優ベネディクト・カンバーバッヂ。ティルダ・スウィントン、キウェテル・イジョフォー、マッツ・ミケルセンら実力派が脇を固める。

まずは映像の作り込みが物凄く、魔術によって捻じ曲げられていく街並みは圧巻。そこで繰り広げられる重力無視のアクションも楽しい。ストレンジが世界の正体を知る場面の悪夢感も最高。
主役のドクター・ストレンジをはじめとした個性的なキャラクターたちも素晴らしく、特にティルダ・スウィントン演じるエンシェント・ワンは作品に深みを与えている。強いて言えばスコット・アドキンスはもう少し活躍させてほしかったが…仕方なし。
音楽もポップなものから重厚なものまで多彩。
シリーズ1作目としては重畳な出来かと。

惜しむらくは、シリアスとコメディの場面の緩急の付け方がゆるくて正直だれてしまうこと。作品テーマがシリアスなのだから、いっそのこと全編シリアスな作風にしても良かったのかも。
また、肝心の魔術の説明がわかりづらいのでクライマックスのアクションにもイマイチアガれない。ここら辺は今後挽回出来ない部分なので、尚更惜しい。

とはいえ全体的には高水準な作品だと思う。エンシェント・ワンのある場面では思わずグッときてしまったし。やや傲慢で、でも熱い信念を持つドクター・ストレンジの今後の活躍にも期待したい。
KouheiNakamura

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