足立正生が日大映研の仲間と作ったアングラ映画。「６０年安保後の状況というのは、例えば「セックスがやりたくてもできない関係」であり、それが僕たちの実状ではないかという結論になった。」という、また僕には理解の及ばない観念的なテーマのようだけど、一応ストーリーはあるからそれほど難解ではない。「セックスができない」のを、男のインポではなく女性の膣欠損症を題材にとって象徴しているのがユニーク。その発想が、アナルセックスだったり、その女性が刃物で膣を裂こうとしたりというグロテスクなイメージを呼んでくる。コントラストの強いモノクロの映像が気味悪さを増幅。死んだ老婆の鼻と口に綿を詰め火葬し骨を骨壺に収めるまでをしつこく見せる一連の場面も印象的で、セックスができない男と女もディスコミュニケーションをもがきながら呆気なく死んでいく。傑作だと思います。一柳慧のアヴァンな劇伴がとても良い。