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おみおくりの作法のericaのネタバレレビュー・内容・結末

おみおくりの作法(2013年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

うわあああぁぁぁこれは久々にやられた…(;o;)

鑑賞後しばらく経ってもずっと頭から離れない。。余韻がすごい。
(「鑑定士と顔のない依頼人」を観たときと近いかも)


主人公ジョン・メイは、身寄りなく孤独に亡くなった人を見送る仕事をしている。
この仕事は事務的にこなすことも可能だし上司も効率上それを望んでいるのだけど、彼はそうはしなかった。

一人一人の孤独に丁寧に時間をかけて寄り添う。
故人の親族や友人を捜し、葬儀参列を呼び掛けるが彼らにその義務はない。
参列を拒否されれば彼らとはそれまで。

ジョンは故人の生前の情報を集め、その人物に相応しい弔辞を書き、葬儀のBGMを選び、当日も一人で葬儀に参列し手厚く弔ってきた。

ジョンは仕事に誇りとやりがいを持っていたが、ある日人員整理という名目で解雇を言い渡され、ビリー・ストークという自分の向かいに住む者のお見送りが最後の仕事となる。

ビリーはジョンとは真逆の人間で、彼の人となりを探っていくうちに影響を受け、自分自身も変わっていく……


こんな感じのストーリーです。

感想上手くまとめられなくてあらすじ書いちゃった。笑


とにかくずーっと心地いい映画だった。
終始静かで淡々としていて、バックで流れてる音楽もまた静か。
次のカットに移るまでのゆったりとした間も心地いい。
台詞も少なく、盛り上がりも特にない。
小柄な主人公がもっと小さく感じられる引きの構図もすごくいい。

この主人公ジョンの変化が重要だと思うのだけど、特にビリーの娘ケリーとの出会いは、ジョンに大きな変化をもたらした

ジョンの変化が微笑ましいシーンはたくさんあるけど、ハーゲンダッツのシーンは特にお気に入り。笑


そんな微笑ましいシーンからの突然のジョンの死は開いた口が塞がらなかった。

真面目で几帳面なジョンは、交差点を渡る際、左右確認を怠らなかった。
右見て左見てなんならもう一度右を見てからやっと歩み出すほど慎重だったのに

そんな彼が自分の不注意による交通事故で亡くなるという皮肉…


そしてそれをさらに上回ってくる皮肉なラストには心を抉られた。。
でも、それでも彼に見送られた人たちは間違いなく幸せだったし、そんな人たちに見送られた彼もまた、幸せだったと信じたい。
人のためにした善い行いはどんな形であれ必ず自分に返ってくるのだと、、

あの世でもし彼らが出会ったら、ジョンはみんなに囲まれお礼を言われ、あの不器用な笑顔で応えるのかな。


久々に邦題がいいと思える作品に出会えた。
お見送りをする際には彼なりの作法があるっていうね


人に勧められて観たけど、私も人に勧めたい。
良作。
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