mimitakoyaki

暮れ逢いのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

暮れ逢い(2013年製作の映画)
3.7
貧しい階級の青年が、富豪に見出されて秘書として活躍する一方で、若く美しい富豪の妻への思いを募らせ、互いに惹かれ合うも戦争によって引き離され…という、話自体はありがちなメロドラマなんですが、ルコントが撮ると、甘美で官能的な大人の恋愛映画になってて見事でした。

上流階級の優美なドレスや内装、調度品なども素晴らしいのですが、抑制の効いた色調で、夫人のうなじや腰からお尻にかけてとか指先とか、舐めるようにカメラが映し出してエロい、変態スレスレのフェティシズムがまことにルコントらしくてとても良かったです。

特に、財津、ではなく青年ザイツと夫人の発展しそうでしない、焦らしに焦らした寸止めの連続が、逆に官能的で、ガツガツ行かない方がむしろエロティックだなと思って勉強になりました。

ドイツが舞台なのに英語かー、と違和感感じたりもしましたが、原作はシュテファン・ツヴァイクとのことで、終戦後、ザイツと夫人の2人が再会し、帰還兵のパレードに逆行して道を進んで行くシーンは、「勝ち負けなんかどうでもいい、早く戦争が終って欲しい」と言った夫人のセリフからも感じとれるように、日々の暮らしも恋愛も何もかもが引き裂かれる戦争を否定し、平和で芸術や文化が花咲く世界を希求していたツヴァイクの思想を反映してるのかなと思い、大島渚の「愛のコリーダ」で吉さんが兵隊の行進とはひとり逆行して歩くシーンを思い出し、とても印象に残りました。

ルコントが描く、時代に翻弄された男女の恋愛、ルコントらしさがいっぱいで素敵でした。

【15-68】