きよぼん

アバター:ウェイ・オブ・ウォーターのきよぼんのレビュー・感想・評価

4.2
ノーラン監督「TENET」に対してグチグチ悪く言う人は、自分とは映画の見方があわない人。「ホンモノのジェット機を爆破してる」「2回観ないとわからない」とかいう話題のわりに、作品としては・・・とかいう意見もわかる。でも、そういう話題をきいてワクワクして映画館にいく吸引力を持った作品であったことは事実。

名作、怪作、駄作。評価はいろいろあれど、なんか「すげえもんを観た!」という感覚はあったはず。映画とは何か?見世物小屋的「興業」であると考える。出来映えを評価する見方は当然である。でもやっぱりドキドキワクワク心が震えるものがないと、つまらないではないか。

やっと本作アバター・ウエイオブウォーターの話をする。この作品も名作、駄作、いろんな評価が出てくるだろうけど全員一致するのは「なんかすげえもんを観た!」という満足感があることだ。ヒットメーカー・映画「興行師」としてのジェームズ・キャメロンの観客に「満足感」を持ち帰らせる力はやはりすごい。

森を海を舞台に異星人ナヴィが躍動!空に海に、古代をモチーフにしたクリーチャーたちの動きに感動!飛ぶ!潜る!海中のクジラっぽい生物との交流、アクションの美麗さよ。今回は秒間48コマというハイフレームレート上映でみたのだけど、この海中のシーンの鮮やかな動きは引き込まれた。アクションとしての見せ場もたくさんあるんだけど、なぜかこの普通の生活シーンみたいなのに多幸感あるのよね。

クリーチャーだけでなくメカも健在。海中用カニ型マシンの動き。そしてパワードスーツ!将軍が出てきたとき、パワードスーツ着ながらコーヒー飲んでたから、身体が不自由かと思ったらただの訓練だったのか。クライマックスでもたくさん出てきてメカ好きも満足。

メカ、クリーチャーのデザイン、ナヴィの生活を眺めるだけで映像的快楽に溺れる作品。

物語はひとことで言えば家族愛か。というかキャメロン監督は、アバターシリーズで、世の中のあらゆる物語を描こうとしているのではないか。刺激になれた映画ファンからは「物語は平凡」という声もあるけれど、実は結構すごいことが起きている・・気がする。ベタだと言われても、シラけるようなことになってない構成力はお見事だといえる。

自分は映画はシリーズであっても独立した作品としてみたい派。だけど、この映画の物語は全シリーズを見終わるまで評価できないと思ってる。全物語の統合というトンデモな野望がある作品だと思うのだが。

それにはシリーズが続く必要がある。今回は成功だったとしても、次回これを越える力があるのか。興行師・キャメロンなら何かやってくるはず。
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