スピルバーグとトム・ハンクスといえば『プライベート・ライアン』を思い出すが、今回救出に向かうのは、敵国ソ連のスパイ。
そのうえ、コーエン兄弟が脚本と聞いては、期待せずにはいられない。
単身東ベルリンに乗り込むトム・ハンクス演じるドノバンはもとより、ソ連のスパイ、ルドルフ・アベル役のマーク・ライランスの寡黙な演技が印象に残る。
静かに確実に築かれていく2人の間に生まれたものは信頼感なのか、友情とまで呼べるものなのか。それが、橋の上でのラストシーンを切なくさせる。
とはいえ、ここ数年に見た映画のなかでも、人質救出という点では『アルゴ』が、アメリカにおけるヒーローという点では『アメリカン・スナイパー』のほうが見応えがあったように思う。