あなぐらむ

天使のはらわた 名美のあなぐらむのレビュー・感想・評価

天使のはらわた 名美(1979年製作の映画)
3.9
「天使のはらわた」としては第4弾、「名美もの」としては三作目。名美に鹿沼えり、村木は地井武男。

女性誌記者の名美が強姦被害者を無神経な取材で追い回していくうち、自らが被害者の心理に侵食されてしまう、早すぎた「ハンニバル」。
石井隆名物の雨とネオン、八神純子「みずいろの雨」が鮮烈なイメージの奔流を産んでいく。
サスペンス・ホラーというジャンルに早々と田中登が接触していた事を証明する一作。タイトルそのままに吹き出すはらわた、モルグでのレイプ。夢の島の荒涼とした景色。ロマンポルノの枠はとうに超えている。

鹿沼えりの瞳にフォーカスした画作りが素晴らしい。
当初、水原ゆう紀に出演交渉していたとの事なのだが(樋口尚文さんの書籍参照)、「赤い教室」で全力投球しすぎて断ったらしい。結果、鹿沼えりさんになったのだが、今思うに鹿沼えりの方が都会的な洗練されたところがあって、これはこれでよかった気がする。