KouheiNakamura

モアナと伝説の海のKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

モアナと伝説の海(2016年製作の映画)
5.0
受け継ぎ、挑み、乗り越える。

一世を風靡した「アナと雪の女王」から3年、絶好調のディズニーが挑むアンチ・プリンセスものの集大成的作品。海に選ばれた少女モアナの冒険をダイナミックな映像と魅力的な楽曲の数々で魅せる。

アナ雪では愛情の多様性を示し、ベイマックスではヒーロー物とディズニーらしさを融合させ、ズートピアではディズニーが得意として来たステレオタイプなキャラクター造形を逆手にとってみせた。次にディズニーが挑んだのはプリンセスものの王道をあえて外し、少女の自己実現に焦点を合わせた一大冒険ロマンだった!
まあー映像の素晴らしさは今更言うまでもないことだが、それでも驚嘆すべきクオリティ。特に波の表現は3DCGアニメの中でも最高ではないだろうか。2Dと3Dの組み合わせなど、新しい表現にも果敢に挑んでいる。またキャラクターのデフォルメもよりリアルになり、それでいて愛嬌も兼ね備えた見事なバランス。南国テイストを取り入れた楽曲の数々にも胸踊る。主題歌「How far I'll go」が流れるシーンはストーリーの盛り上がりと相まって思わず涙してしまうほどの高揚感。

そしてそして、今回はやはりストーリーが素晴らしい!特にモアナの境遇、おばあちゃんの生き様、先人たちの歴史、島に忍び寄る危機を一気呵成に描き切る前半は圧巻。ネタバレになるので詳しくは言えないが、エイの場面の演出には思わず膝を打った。上手すぎる!!
英雄に憧れる半神半人のマウイとのバディ物になっていく中盤からはロードムービーの様相を呈していくのも趣がある。近年のディズニー作品に比べて悪役に魅力があるのも良い。ここら辺は流石「リトル・マーメイド」の監督コンビと言ったところか。

物語のテーマである自己実現を描く上で、先人たちの教えを受け継ぎつつ自分の意思で先に進むモアナ。これはディズニーの今の姿勢を表しているのではないか。驕らず、しかし挑戦することも忘れない。そんな心意気を持ったディズニー作品に今後も期待していきたい。

万人にオススメ出来る、冒険アニメの大傑作!これを見逃すのはもったいない!オススメです。
KouheiNakamura

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