エソラゴト

ナイトクローラーのエソラゴトのレビュー・感想・評価

ナイトクローラー(2014年製作の映画)
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報道スクープを狙う映像パパラッチ"ナイトクローラー"のルーが目指したネクストステージとは一体何だったのか?

この作品の為に減量だけでなく昼夜逆転した生活を実際に送り完全なる夜行性人間を創り上げたのは主人公ルー役のジェイク・ギレンホール。

元々大きいのに痩せこけた頬でより一層巨大化した瞳をギラつかせながらカメラのモニターを凝視し、映し出される数々の修羅場映像を何の良心の呵責もなく淡々と捉えて行く様に走った「戦慄」。

また相棒のちの副社長のリック、報道番組ディレクターのニーナはそんな彼の狂気の渦に次第に飲み込まれていき歯止めが効かなくなり彼もろとも一線を超えてしまう展開に感じた「恐怖」。

今作が初監督のダン・ギルロイが語る通りこれは"究極"のサクセスストーリー。確かに頭をフル回転させ、ツールを最大限活用し、あらゆる人脈を駆使し、ライバルを出し抜き、多額の報酬を得る…。同じ経済活動で彼らと我々の違いはそこに一定の倫理観や道徳心、正義感の有無だけ。他は何ら変わりはないー。

「狂っている」

相棒リックが断絶魔に発した一言、そして物語冒頭及びラストに象徴的に映し出されるあの腕時計こそがこの映画の世界観、延いては現実の世界観を端的に表現しているように思えてならなかった。