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スノーデンのTEPPEIのレビュー・感想・評価

スノーデン(2016年製作の映画)
3.2
やっと今年、初の劇場鑑賞作品。スノーデン事件から早くも映画化。「暴露」を読破してる層や、政治に関心のある層からも熱い支持を受けて実現したオリバー・ストーン監督作品。さっそく、評価を述べるとすれば「よく出来ている」けど「完成度は高くない」という印象。NSAの機密情報を暴露したエドワード・スノーデン…例えば、「ゼロ・グラビティ」を見てリアリティがないと全く知識ない人より、宇宙飛行士の「リアリティがある」という言葉の方が説得力がある。「スノーデン」はそういう点でこれがリアリティあるのかないのかは、そもそもアメリカの機密情報を知らない人からすれば突っ込む箇所ではないし、この手の映画としては結構テンポよく進んでくれる。オリバー・ストーンにしては風刺が弱いというか、多分本人的には勝負作品なんだろう。まず何度も言うが、CIAの描写など見応えあるシーンが続いて、ジョセフ・ゴードン=レビットの演技とかもう声色すら変わってて本当にハマっていましたね。オスカーノミニ〜〜じゃなかったのはおそらく……本人出演しちゃっても…笑てなりますね。キャスト陣が本当に豪華で眉潜めながら楽しんでましたが…うーん、何でこんなに緊張感がないのかな。て思ってた矢先、帰り道同行してた友人が「結局、スノーデンて何で国家を裏切ったの?」という言葉だった。一瞬、質問の意図がよく分からなかったのだけど、この作品の柱となる「なぜ、エドワード・スノーデンは機密情報を漏らしたのか」という理由の、「目的」が描ききれてないのが問題だと分かった。愛国心を持ち、国に尽くした彼の行動は確かに偉大であるし、見方によっては現状を悪くしてるだけでもある。国を守るってもはや監視無しでは無理って話だし、トランプ大統領の壁建設の件も人権問題にフィーチャーされているけど実際不法に移民して、警備隊も高齢で締まりがないのも事実なんですよね。アメリカでも結構なトランプ支持者がいたことが記憶に残ってて、日本の場合は監視よりまずマスコミ叩いた方がやばいもん出てきそう。因みに僕がアメリカに居た頃、友人が「これは保守だ」といってスノーデンのポスターを指さした。もうここまできたら映画どうこうより、ただジョセフのナイスキャラを見る映画でしかなないのかも…と考えていたら随分と冷めてしまった。
総評として見応えのある1本の「スノーデン」はややテーマに強みが欲しく、蛇足なドラマが少し追加されてしまった印象。正直…ほかの巨匠がまたスノーデン題材に撮ってくれないかなぁて考えもした。
てなわけで、フィンチャーやダニー・ボイルあたりでもう一本待ってます
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