KouheiNakamura

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたちのKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

4.0
おかしくても、いい。


奇妙な世界を描かせたら右に出るものはいないティム・バートン監督の最新作。エヴァ・グリーン、エイサ・バターフィールド、サミュエル・L・ジャクソンらが出演。

正直に言って、ここ最近のティム・バートンの映画はイマイチなものが多かったように思う。毒気も愛も中途半端だったアリス・イン・ワンダーランド、ドラマシリーズの1話を映画化したようだったダーク・シャドウなどは特にそうだった。もちろんビッグ・アイズやフランケン・ウィニーなどの良作も手がけてはいた。しかし、何かが足りない…。そう思っていた矢先に今回の「ミス・ペレグリン」公開のニュースが飛び込んできた。キャッチコピーは「ティム・バートン史上、最も奇妙。」。これは期待できるという気持ちと、今回も微妙だったらどうしようという気持ちの半々で劇場に足を運んだ。

結論から言うと、近年のバートン映画の中で最もバートンらしさが出た作品ではないだろうか。
異能者として迫害される、奇妙な子供達とその庇護者であるミス・ペレグリン。孤独を抱えたジェイク少年は彼らと出会って、徐々に成長していく。自分の居場所がない、特異な力を持った彼らが奮闘する様はそれだけでも胸を熱くさせる。バートン映画に度々出てくるマイノリティへの優しい目線は今回特に強く現れているように思う。個性豊かな特殊能力を持った子供達それぞれに見せ場が用意されたクライマックス、そのメッセージが爆発する。
人と違ってもいい。おかしくても、笑われても、活躍出来る場所はきっとある。バートンは我々にそう語りかけている。

また、初期バートン映画のようなダークさも今回は強く出ている。目玉を食べる怪物や動く死体、闇に浮かび上がる白い眼…などなど刺激的な描写の連続だ。子どもたちを震え上がらせる場面も容赦なく描くあたりにバートンの本気度がうかがえる。

後半の展開が分かりにくいのは難点だが、それを差し引いても良くできたダークファンタジーの良作。オススメです。
KouheiNakamura

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