"危機に瀕したとき、賢者は橋を架け、愚者は壁を作る"
アフリカの小さな王国ワカンダ。
太古の隕石がもたらした希少金属「ヴィブラニウム」とその利用技術のおかげで、王国は高度な文明を有する大都市に発展している。
そして、代々の国王は、超人的な力を授けてくれるハーブやヴィブラニウム製の武器を用い、「ブラックパンサー」として国の秩序を保っていた。
だが、その金属の悪用を恐れ、王国は鎖国状態を保ち、超文明国家であることを隠している。
前国王のティ・チャカがテロにより不慮の死を遂げ、息子のティ・チャラが王位を継いでから間もなく、ロンドンの博物館でヴィブラニウム製品の強盗事件が発生する。
実行犯は、かつてワカンダに侵入しヴィブラニウムを盗掘したユリシーズ・クロウ。
ティ・チャラは何とかクロウを捕らえるが、エリック・キルモンガーなる謎の男の一味に襲撃され、逃亡を許してしまう。
その時、ティ・チャラはキルモンガーの胸に自分が父親から受け継いだものと同じ指輪があることに気付くが…。
超テクノロジーとアフリカ文化を纏ったミステリアスなヒーローの誕生。
「ヴィブラニウム」の特性(衝撃の吸収と解放)を活かした、そのパワフルで爽快感溢れるアクションは興奮必至。
すべて女性の親衛隊の衣装を始めとするアフリカンな美術も素晴らしい。
そして裏の主人公とも言えるキルモンガーの暴挙すらも、すべてを否定せず受け入れる懐の広さ。
「文化とアイデンティティーの尊重」という筋の通ったテーマにより、一本の作品として非常に見応えがあった。
また、迷信のようになってしまった伝統も、後の世代に引き継がれるごとに、より時代に合った方向性を重視して進化してゆくことが大切なのだと考えさせられた。
ハナマル!
2023/01/08