もるがな

アベンジャーズ/エンドゲームのもるがなのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

借りた石返せよ!借りた石返せよ!(大事なことなので二回言いました)

インフィニティサーガ完結編。きちんと広げた大風呂敷を畳むこと。またしっかりと話を完結させること、世に数多ある様々なシリーズもので、この単純かつシンプルな条件を満たせている作品は驚くほど少ない。加えて3時間という長尺で一度も飽きさせなかったというのは並みの映画にできることではないだろう。当初はFF6の世界崩壊後のような重い再起の物語だと思っていたのだが、予想以上にアップテンポで重くなり過ぎず、笑いのシーンを入れてくれたのもシリーズのノリを忘れない最終章っぽさがあっていいと思った。

細かな点では不満点がないわけでもないのだが、それが些細なことのように感じるのはやはり大枠がしっかりしていたことで、終始この作品で語られていたのは「アメリカ」である。それはアメリカの尻という細部のギャグにすら染み渡っているテーマで、多人種、多種族が壁を超えて一致団結した後半の大乱戦は見応えのあるシーンだった。

ヒーローたちによる大乱戦の中でのインフィニティストーン争奪戦はまさにアメリカの象徴の一つであるアメリカンフットボールであり、映画の冒頭のネビュラとトニーの手遊びがそのまま擬似アメフトという「エンドゲーム」に繋がってる点が素晴らしい。他にもラストのキャプテンが盾を譲渡したのが黒人のファルコンというのも新しいアメリカの象徴を感じてしまった。何よりも今までシリーズを追っていた人間なら、ラストシーンのヒーローたちのそれぞれの決断には感動しかなく、一人のキャラクターの終着点として描き切った点は驚嘆に値する。

何より今までのシリーズを見たからこそ、劇中の大半のシーンが最高のファンサービスでしかなかった。キャプテンのヒドラ宣言、Gotgのダンスに対する冷静なツッコミ、ゲーム廃人ヒキニートと化したソーの雷神煽り凸、そしてクライマックス付近のリセマラの化身ストレンジの残酷な選択と、トニーが背負った業とそれに対する決意、無言の二人のやり取りに感じ入るものがあったのだ。そしてナノテク奪取からのI am ironman!には最高にシビれた。実質的な主人公はトニーなのだが、トニーでなければならなかった理由がここにある。

『スパイダーマン ファーフロムホーム』は当初あまり興味が湧かなかったのだが、この映画を見て俄然見たくなってしまった。

余談だが、今回は公開日のレイトショーで観に行ったわけだが、前作、インフィニティ・ウォーの時より人が多く、席は僅かしかなかった。ラストシーンでのすすり泣き、ギャグのシーンで漏れ出る忍び笑い、そして上映終了後、拍手が起こったのは驚いてしまった。それがこの映画の評価だと思うし、それに異論は全くない。そんな感情を観客と共有できて、今までのシリーズに対する畏敬の念と感慨深さで胸がいっぱいになってしまった。アベンジャーズは永遠に不滅です。
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