マヒロ

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生のマヒロのレビュー・感想・評価

3.0
ファンタビ2作目にして早くも暗い影が。
『賢者の石』から急に『炎のゴブレット』に進んだレベルでの方向転換だけど、五部作予定らしいので駆け足気味なのはしょうがないか。

ハリーポッターシリーズではほぼ名前だけの登場だったグリンデルバルドがいよいよ頭角を現し、そこに若いダンブルドアが絡んでくる…という展開はファンなら嬉しくない筈がないサービスっぷりだけど、なんだかそれ以外の要素がごちゃごちゃし過ぎているような気が。
相変わらず謎の存在であるクリーデンスと彼を気にかけるナギニという女性、レストレンジ家の家系に関するあれやこれや、ニュートとその仲間たちの関係性、そこに勿論魔法動物たちも絡んできて…と、追わなければいけない話がちょっと多い。
それでも、原作を無理やり映画サイズに落とし込んだハリーシリーズよりはスッキリしてはいるんだけど。

グリンデルバルドの魔法使い至上主義という思想は、今現在のアメリカに蔓延る白人至上主義という思想をもろに反映していて、今の時代こういう人間が敵になってくるのは必然かなと思う。まぁ、ヴォルデモートの軍勢も同じような事を言ったりしていたので、JKローリングが元々こういう人たちに対する危機感を抱いていたのかもしれないけど。日本にも日本人至上主義者みたいなおっかない奴等はいるわけで、全く人ごとではないのがまた恐ろしいところ。

こういうメッセージをスマートに映画の中に織り込んでくるのは良いとして、なんとなく物足りなさを感じてしまうのは、やはり主役四人組の掛け合いが少なかったからかなと思った。せっかく前作でキャラクターを立てていたのに、今作では描写されていない期間に四人の間にあれこれありすぎて、いきなり離れたりくっついたりした状態で物語がスタートするので、いきなり置いてけぼりにされた感があった。

新しく始まったシリーズの割に結局前シリーズの知識がないと分かりにくいところがあったり、キャラクターに感情移入する前に物語がどんどん進んでしまったりと相変わらず不親切感はなきにしもあらずで、前作に比べて純粋には楽しめなかったかなぁ。

(2018.77)[29]
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