ながみ

ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密のながみのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

ハチャメチャに面白かった。
自身がハリポタシリーズをすべて履修済み、かつ予習していたからかもしれないが、話がわからないとなるところは基本的になかった。
笑えるところもあれば、しんみりとするところもあり、かっこよさに興奮するところもあり。面白かった。

エンタメとしての面白さと両立して映画の中で常に語られているのは、簡潔に言えば「ゲラートとアルバス」の過去から現在に続く愛の話。
彼らのかつての愛と過ち、その後悔と今に至るまで。若い頃の夏の数カ月を過ごした二人だが、あの夏に囚われている。特にゲラートはそうだ。あくまでアルバスの為にしていることだと彼は考えているし、アルバスのことを愛しているし、彼のために世界を変える。

映画中で語られたニュートの言葉(正確に言えば受け売りだが)。
要約すれば、「間違えるのはどうしようもない。だがその後正そうとする努力が大切」。
アルバス・ダンブルドアは、その言葉を実行している。だからこそ、麒麟に跪かれる人間足りえたのだ。
麒麟がダンブルドアに断られたあとひざまずいた女性(名前思い出せない、すまん)は、ジェイコブがクルーシオされた時に密かに解除して助けていた。グリンデルバルドのその暴挙を止めることはできなくとも、そのあと救うことで「正した」。
麒麟が選ぶ「善人」とは、その点なのだと思っている。
つまり、そういうことなのだろう。

彼は間違えたあと、正すために努力できる人であり、そうあろうとしている。グリンデルバルドはそうではなかった。

血の誓いが砕け、二人だけの世界で心音を聴く。ここまで美しく物騒な逢瀬があるだろうか。
「他に誰がお前を愛す」「お前は孤独だ」という告白。
敵ではないといい残すゲラート。
壊れた、美しかった、若気の至りの、血の誓い。
一人で外から結婚式を眺めるアルバス。

エンタメとしての正道の面白さ以上に、彼らの世界を巻き込むほどの愛とねじれの道程とひとつの決着。おそらくこれから、本当のグリンデルバルドとダンブルドアの戦いになるのだろう。
ああも繊細で美しい魔法を操るアルバス・ダンブルドアと、それを演じたジュード・ロウ。そして恐ろしくも常に傷ついているような魅力を帯びたゲラート・グリンデルバルドを演じたマッツ・ミケルセンに脱帽した。

今回のアルバス・ダンブルドアを知った上で、あらためてハリーポッターシリーズを見返したいと思う。きっと、見えなかったものが見えるだろう。
ながみ

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