KouheiNakamura

スーサイド・スクワッドのKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

スーサイド・スクワッド(2016年製作の映画)
3.8
憎まれっ子、世にはばかる。


「マン・オブ・スティール」、「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生」に続くDCエクステンデット・ユニバース作品第3作目。早い話がDCヒーロー大集合映画「ジャスティス・リーグ」への布石、第3作目。
えー…この作品に関してですが、未だに僕の中では評価が定まっておりません。何故か?好きな部分と嫌いな(あるいはダメだなあ…)と思う場面が混じった作品だからです。

そもそもこの作品は製作の経緯からして特殊な作品です。元々はバットマンやフラッシュに出てくるヴィラン(悪役)たちが集められ、政府の命令で動く自殺部隊となる…というお話。このアイデアの良さ、更には予告編の出来の良さにアメコミファンは期待に胸を膨らませながらこの映画の公開を心待ちにしていました。また今作の監督であるデヴィッド・エアーはリアルでハード作品を手がけた男。いやさ、漢。そんな彼が悪党たちの映画をどう料理するのか?
そうして公開された「スーサイド・スクワッド」。如何なる映画になったのか?…僕なりにこの映画の好きな所と嫌いな所を列挙しながら考えたいと思います。

まずは好きな所。悪党軍団らしい、癖のあるキャラクターたち。宣伝でも推されているハーレイクインが最高なのは言うに及ばず。娘思いのスナイパーデッドショット、最強なのに人間臭いエル・ディアブロ、見た目は凶悪中身も凶悪なキラークロック、空気読めないブーメラン馬鹿キャプテン・ブーメラン、独特なイントネーションの日本語使いカタナ、くねくね魔女エンチャントレス、殺陣縄師スリップノット、そして我らが最悪の道化師ジョーカー!キャラが濃すぎるやつらが渋々作戦に参加している絵面だけでも楽しいです。
アクションシーンもデヴィッド・エアーらしい銃撃戦は中々クールで良いです。音楽や映像も個性的で2時間飽きずに楽しめました。

で、嫌いな所なんですが…。まずはシナリオ構成の歪さ。前半のキャラ紹介は快調でしたが次第に話の手際の悪さが目立ち始め、後半は何故悪党軍団が一致団結するのか分からず敵役の目的も判然としません。ロジックもエモーションも物足りない場面が数珠つなぎに構成されていくため、盛り上がりに欠けます。また、先ほど好きな点であげた音楽の使い方。選曲は良いです。アガルし、キャラクターにも合ってます。しかし…短すぎるんです。おっこの曲を使うのか!と思ったらすぐにフェードアウトしていきます。尻切れトンボで消化不良です。
悪党軍団なのに劇中では大して悪いことをしないのも微妙です。各キャラの個性を活かしたアクションシーンが少ないのも大きなマイナス。

こうやって挙げてみると、やはり一本の映画としては不出来な点が多いです。DCユニバースの一本としても完全な繋ぎというか…バットマンが出た意味もあまりないように感じました。
では、嫌いな映画なのかと聞かれると…そんなことはなくて。むしろ不出来な点も含めてこの作品の魅力なのではないかと思っています。世間から爪弾きにされたダメでどうしようもない奴らがなんとなく団結して邪悪に立ち向かい、なんとなく世界を救っちゃう。予告編では期待されていたのに、公開されたら酷評の嵐。この映画自体がスーサイド・スクワッドと重なって見える不思議。
最低な奴らがなんだか愛おしく感じる一本。やっぱり、僕は好きな映画です。ちなみに推しキャラはキャプテン・ブーメランです。D4C!!
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