あーさん

心が叫びたがってるんだ。のあーさんのネタバレレビュー・内容・結末

心が叫びたがってるんだ。(2015年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

子どもが主役の映画特集〜第4弾

通称” ここさけ”
若者に人気の、タイトルが前々から気になっていた作品。
アニメの実写化絶賛上映中!とのことで地上波でやっていたのを録画して鑑賞。

普段はジブリ、ピクサー、ディズニーあたりの定番のアニメ以外はあまり観ない。
特に日本独特のお目々キラキラな絵とか、いかにもな甘ったるい高い声のヒロインとか、実はちょっと苦手。。

でも「君の名は。」や「この世界の片隅に」等のヒットで定番以外にも子ども限定のアニメの枠を超えた傑作があると思い知ったこともあり、なるべくハードルを上げないよう期待と不安が入り混じった気持ちで観始めたのだが…。

うーん、まず最初の設定には今ひとつついて行けなかった。
幼い頃の主人公の女の子成瀬順の両親の描き方だったり、成瀬が話せなくなった理由というのがなんだかなぁ…と。

最近の若者の話し言葉に違和感があるのは仕方ないとして、神社で玉子を拾うおじさんのセリフが陳腐で気持ちが一気に冷めそうに…(知らない高校生にこんな下品な会話をする大人がいるだろうか?)。
他にもツッコミどころが満載で、あり得ない所はコメディと思えば良いのか?と戸惑いながらも…

しかし!そこは枝葉の部分で作者のメッセージはそこではない!と前半は何とか我慢。。

それぞれに家庭や部活、恋愛等の悩みを抱える成瀬順、坂上拓実、田崎大樹、仁藤菜月ら4人が中心となって描かれるいわゆる青春群像劇。

とある高校の教室。誰もやる気のない地域の交流会の実行委員選出の場面。指名されて仕方なく引き受けた成瀬ら4人の実行委員のメンバーだったが音楽教師の担任のもと、全員参加型のミュージカルをすることでバラバラだったクラスをまとめていく…。

そこからのパートはテンポも良く上がったり下がったりしながら、成瀬と坂上が中心に皆を巻き込んで話がどんどん膨らんで行く所はとても面白かった。

ファミレスで田崎の野球部後輩達に成瀬が思いの丈を叫ぶシーンは、印象的で好きなシーンだ。

野球部の田崎とチアリーダー部長しっかり者の菜月もサブキャラになってしまわず、それぞれの立ち位置がしっかりあってバランス良かったと思う。
クラスメイト達が強制されてではなくて無理なく曲作りや照明、衣装、大道具など得意分野を活かして協力してくれる様も観ていて気持ち良かった。

玉子の妖精とか、ちょっと…ん?と思わないでもなかったけれど(高校生の葛藤にしては幼くないか?)、そこは本筋ではない!ので笑

ミュージカルという出し物を盛り上げて行くにあたって、拓実の家にピアノがあるとかクラシックや映画のレコードが棚にビッシリあるという家庭環境含め、音楽好きという設定は納得できる。

劇中の”音楽なら言いたいことが言える”という成瀬の言葉はそっくりそのまま私が中学生の時に音楽にハマった時、思っていたこと。
そう、おとなしい子にとって「言いたいことがあればはっきり言えば良い」なんてこと、できれば世話はないわけで。
成瀬のようにトラウマがなくても、歌というのは心を解放してくれる唯一の手段だと思っているおとなし族(勝手にネーミング笑)は今も昔もきっとたくさんいるはず!
そこはとても共感できたし、ミュージカル自体も思ったよりもちゃんとしていて、最後のベートーベンの”悲愴”と”Over the Rainbow”を重ねて歌うシーンはクライマックスとして相応しく本当に素晴らしかった!!

予定調和でない恋の行方にも
ラストの成瀬のセリフにも
爽やかな気持ちになれた。

観終わってみたら最初の方の杞憂はどこへやら、いつしか画面に釘付けになり、ちゃんとメッセージ性のある素敵な作品だったな〜と思えた。



傷つけるかもしれないけれど、
やっぱり
言いたいことは言葉に出して言わなきゃダメ。
傷ついても傷つけられても
ぶつかりあって生まれてくるものに嘘はないから。。

悔いのないように
言葉を尽くして。



やっぱりタイトルがいいな。



”心が叫びたがってるんだ!”
あーさん

あーさん