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ディオールと私のろいろいのレビュー・感想・評価

ディオールと私(2014年製作の映画)
3.4
💠favorite line💠
"So in that sense, the past is not romantic for me, it is the future that is romantic for me."

🎞️story&information🎞️
1946年に創設され、今や誰もが憧れる世界的ブランドとなった〈クリスチャン・ディオール〉。
そんな老舗ブランドの初めてのコレクション発表は1947年。
それから65年後の2012年、新しくデザイナーに就任したのは、オートクチュール(高級注文服)未経験のラフ・シモンズ。
彼の抜擢はパリ・ディオールのアトリエで働く経験豊かな105人のお針子たちにとっても新たな挑戦の始まりとなった。
パリ・コレクションまでに与えられた時間は異例の8週間。
通常4~6ヶ月必要とされる期間の半分以下で、54体ものオートクチュール発表を求められる。
そんな環境でラフが提案する斬新なアイディアとデザインをもとに、寝る間も惜しんで1枚の布にディオールの魂を吹き込むお針子たち――。


監督はフレデリック・チェン。


🎞️review🎞️✐✐✐✐✐✐
2014年に上映されたドキュメンタリー作品。

世界中のファッション業界や著名人が集まる大イベント「パリコレ」。
その「パリコレ」の常連「クリスチャン・ディオール」で働く職人に密着したドキュメンタリー映画。

もちろんディオールの全面協力。
カメラが初めて本社のアトリエ内に入り込み、生の映像を映し出している。

そもそもラフ・シモンズとはどんな人物なのか?
ベルギー出身のデザイナーで、ディオールに来る前まではプレタポルテのメンズラインで多少名が知られている程度の人物だったらしい。
ディオールの前はジル・サンダーでデザインを担当し、ディオールのコンセプトとは正反対のデザイナーだったので、当時ディオールに移った際は驚かれたとのこと。
その後はカルバン・クラインに身を移し、2023年現在はプラダで活動している。

オートクチュールとプレタポルテってなに?
本作で密着しているのがディオールのオートクチュール部門。
オートクチュールは簡単に言えば「1点もののオーダーメイド服」。
パリコレのオートクチュールとして認められるのはかなり狭き門で、
ディオールはオートクチュールの伝統を守っている老舗中の老舗。
一方でプレタポルテは簡単に言えば「高級既製品」のこと。
一般的にハイブランドのショップで売っているものがそれに当たる。

そんなオートクチュールの老舗であるディオールと言えばフェミニン。
美しいシルエットに節度ある装飾性と豪華さとロマンチックな味わいがあるハイブランド。
自分は男だけど、その洗練されたデザインが好きでディオールにはお世話になっている。

正直この作品を見るまで、天才クリエイティブ集団が自由な職場できらびやかな服を作っている思っていた。
が全く違った。

ラフ・シモンズに襲い掛かるDiorメゾンのDNAからくる重圧と恐怖。
ディオールCEOの期待に応えようとするほどラフ・シモンズとお針子さん達との距離が遠くなる。
溝が露骨に見えてくるシーンもチラホラ映る。
特にお針子のまとめ役が大切な時にNYに出張に出かけるという緊急事態に陥った場面は緊張が走っていた。
コレクションを成功させることが最優先であるラフ・シモンズと
シーズン毎に5000万の注文をくれるお得意さんを無下にできない会社とお針子。
どちらの言い分も正しいからこそ生まれる亀裂があった。

気になったのが、たまにラフ・シモンズのナルシスト自分語りが入る。
"ディオールの自伝を15ページやるのをやめた。今の俺と同じことをしている。不思議だろ?"って。
痛々しい。

知っているようで知らなかったハイブランドのコレクションの舞台裏。
ファッション好きにはたまらない映画なので気になった方はぜひ。

衣装作りの職人はクリエイティブな熱気につつまれ明日のファッションを形つくってゆく。

以下余談。
当たり前の話だけど、モデルが恐ろしく足長いし、顔も小さい。

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story:amazon prime参考
information:Wiki参考
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