平山夢明原作小説「独白するユニバーサル横メルカトル」を亀井亨が映画化。
R18を超えて上映禁止の大問題作。しかしUpLink Cloudから視聴可能のため700円で購入。こういう映画が好きなため見てみた。
常に曇りの空で覆われ、町は70年代のような寂れた鉄工所の町やボロボロの廃墟がさらに画面に一抹の不安と暗さを落としている。
主人公フミは義父から母親とともに暴力を振るわれ、学校でいじめもうけ、初めは優しかったが次第に暴力を受けた母親がカルトにはまって精神がおかしくなっていく様子を見ているだけで、見ているこっちの精神がボロボロになる。
おまけに義父は新しい愛人と子供を設けフミはもう要らない、だからお前は俺の人形となれと・・実際の描写はせず、敢えて不気味な人形を用いて行われたが、明らかに性的虐待を加えようとしている。台詞は説明的だがリアルでこんなことが起きていることを想像すると、もう目を覆いたくなる。
母親がカルト宗教にはまっていくと同時に、フミもまたあるものを盲信し始める。アイタイアイタイアイタイと、ひたすら落書きをして救いを求めるのは、巷を騒がしてる猟奇的殺人犯であった。
あの猟奇的殺人鬼の殺人シーンもぐろい、公衆トイレで死体を切り裂くシーンはトイレの汚い床と死体も相まっていい意味で不快である。
そして最後のシーン、次第に目に輝きが失われてしまっていて序盤の面影が消えた彼女に残っているのは目の輝きのない絶望のような黒い目であった。
演じた福田美姫さんは素晴らしい。
もうこの映画のことは絶対に忘れないだろう。とてつもない映画であった。