deenity

ビューティー・インサイドのdeenityのレビュー・感想・評価

ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)
3.5
面白い設定の映画があると聞いて鑑賞しました。朝、目が覚めると自分の顔が変わってしまう。さながらカフカの『変身』ってとこですか?あるいは中島敦の『山月記』といったところでしょうか。変身譚の話は面白く、自身を見つめ直す作品はいくつかありますが、本作はそんな主人公が恋をするという恋愛に特化した作品です。

毎日顔が変わってしまうから恋愛が上手くはいくはずもない。イケメンの時もあればジジイの時もあるし、女の人、子供、外国人まで規則性もなく変化し続けます。
だから好きな人ができた時、いろんな顔で毎日新鮮にその子の接客を受けることができるわけですねー。実に変態です(笑)これ、怖すぎでしょ(笑)だって顔どころか声まで変わるわけだから誰がその人かわからないわけで、つまりは知らない間にその男につきまとわれてても不思議ではないということじゃないですか。この主人公が一歩間違えれば完全にアウトな作品にもなり得るわけです。

もちろんそこが上手くいくのはわかるんですが、問題はその後ですね。「いきなり手を繋いだら僕だよ」って合図、だから怖いって!見た瞬間は初対面の人が手を繋いでくるわけだから、頭で理解しようとしても瞬間的な嫌悪はあるでしょ。それをどう乗り越えるかが面白味。
それなのに何で肝心な所は全てイケメンなんだ。初めはわかる。イケメンで好意を持ってもらわないと中身には見向きもしてもらえないかもしれないから。でも理解してもらってからは違うでしょ。イケメンだろうとブ男だろうと構わない、それでも好きってのが確実に必要でしょ。ラストはそういうのも引っくるめて乗り越えたんだろうけど、でも観客が求めたのはそこも含めてだと思うんですよね。だから本作は肝心な部分をすっ飛ばした綺麗事な作品なんです。ここだけはどうしても解せんですな。

ただまああくまで設定は面白いですし、オチまでの運びがあれなだけで、トータルして面白かったです。何よりヒロインが綺麗ですからね。恋愛映画としてクサさもなく十分楽しめました。
deenity

deenity